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珍しくのめりこんだ時代モノでした。面白かったです。
江戸城の無血開城から間もない、慶応4年5月。秋には明治と年号が改められる、武家社会終焉の年。九州の山深い小藩、秋月藩でその事件は起きた。
 その夜、秋月藩の執政・臼井亘理(豊原功補)の屋敷に、同藩の過激攘夷派の藩士の集団“干城隊”が侵入。 亘理の首をとり、その妻・清(濱田万葉)を惨殺したのだ。開国派のリーダーである亘理を気に食わない攘夷派の秋月藩国家老・吉田悟助(石橋蓮司)がそそのかしたのだった。

 物音に気付いた亘理の息子・六郎は、父のもとに駆けつけるが、そこで目にしたものは両親の惨い遺体と、暗い部屋の隅にぼう然と座っている、幼い妹・つゆの姿だった…。
 清の兄・四郎兵衛(相島一之)、亘理の弟・助太夫(田口浩正)は、すぐさま国家老の吉田に仇討を願い出る。だが、吉田は藩の法度で私闘は禁じられていると言い、この事件を闇に葬り去る。しかも、干城隊へのお咎めはなし。その一方で臼井家には50石の家禄減知という、あまりにも理不尽な処分が下され、11歳の六郎は父母の仇討ちを胸に誓った…。

 明治5年。廃藩置県で武士は家禄を失い、士族という名の失業者になった。16歳になった六郎(藤原竜也)はなか(松下奈緒)と力を合わせ、下手人を調べ上げていた。父を殺したのは一瀬直久(小澤征悦)、母を殺したのは萩谷伝之進(岡田浩暉)であると…。だが、助太夫は早々に仇討をあきらめ、四郎兵衛も「仇討など忘れろ」と六郎を諭し、下級役人の職を得て東京に出て行った。
 ひとり仇討への思いが捨てられず、黙々と剣の稽古を続ける六郎に、一瀬が東京へ行くという噂が届く。太政官の役人となるのだという。
 仇討決行を決意した六郎は、父の形見の脇差を手に、早朝、藩境の峠道に身を潜めて一瀬を待つ。だが、一分の隙もない物腰の一瀬を見て、六郎は身動きすらできず、情けなさに身を震わせる。次第を聞いたなかも、また「うちも悔しかです…」と静かに涙を流すのだった。
 明治6年2月7日、太政官は“仇討禁止令”を発布。これ以降の仇討は謀殺の罪として、死罪にされることになった。

 明治9年、秋月で小学校の代用教員の職についていた六郎は、ついに東京に出る決意を固める。祖父・儀左衛門(平泉成)や助太夫には「勉学を重ねて官に職を得たい」と話すが、もちろん仇討の決意を秘めてのことだった。
「きっと、御本懐を遂げられますよう。お祈り申して上げております」。まるで武士の妻のように指をついて六郎を送り出したなかは、福岡県庁で給仕の職につくことを決めた。県庁ならば、上京した人間の消息も聞こえてくるだろう、つまり六郎のために一瀬の行方を探るつもりだったのだ。
 東京に出た六郎は、叔父の四郎兵衛の家に居候をはじめるが、あるとき道場主の山岡鉄舟(北大路欣也)と知り合い、弟子入りすることを決める。実は、鉄舟は旧幕臣の大物であり、今は帝の侍従として宮内省に勤める人物。いまさら剣の修行をするという六郎に、四郎兵衛は仇討を忘れられないのではないかと訝るが、入門先が鉄舟の道場だと知り、安心する。
 六郎は、他の弟子と交わることもせず、一心不乱に剣の稽古に励んでいた。そんなある日、なかから手紙が届く。一瀬が司法省の役人になったというのだ。手紙が届いて以来、どこか殺気立った六郎の姿を見ていた山岡は彼の決意を見抜くが…!? 



最近のドラマは10分も見ると結末が読めたりするわけで

時代物などはそれの最たるものですが

昨夜の「遺恨あり」は見始めたらすっかりのめりこんで2時間半もなんのそのでした。

眠らずにこの長丁場を見られたのは久しぶりのような気がするわ~。



前半は父母を殺された六郎が復讐を果たすまで。

後半は時代が変わり裁判制度が適用された六郎に課される量刑のこと。

そして結末。


今なら両親を殺害されたことで情状酌量が認められ

無期から考えられるところですが

中江判事は計画的で残忍だから死罪という判決を即断していました。

そこを鉄舟が翻させ無期にしましたね。

武士の魂だったかが中江判事に影響を与えたということです。


時代がちょうど明治になったばかりで

まだ武士のスタイルを変えることに戸惑う人たちで溢れていますから

六郎は復讐を果たしたことで武士の鑑と祭りあげられました。

そんな大勢が六郎に味方したわけではありませんが

マゲをおとしたからといっていきなり西洋に染まることなどできない

武士としてのほこりや名誉が

街を闊歩していたわけですね。


仇討ち禁止令というものが発令されたのは

そんな時代の渦のなかです。


親の敵を打つことが自分の人生になってしまった六郎ですが、

一之瀬を殺害されても

復讐は何も生まないと静かに語れるその妻の姿に

柔軟な強さを感じることができます。

女性のしなやかさは松下さん演じる「なか」にもみられます。

愛人となることで情報や資金を提供できたわけですが

その頭のよさなどはすばらしいのひとこと。

未だ旧い時代の亡霊に取り付かれている男たちに

新しい風を吹かせてくれるのは

いつだってこういう女性たちなのです。



西洋の流儀はいやおうなく武士の魂を逆なでしたようですが

馴染むのも時間の問題。

やがて大日本帝国憲法が発令され

無期で収監されていた六郎はその恩赦により10年ででることができました。


父の敵を討った六郎ですが母の敵も必ずと考えていました。

しかし相手は過去の自分の罪にうなされ

六郎からの仇討ちを恐れて自殺。

確か一之瀬も過去の罪でうなされていたそうですから

罪を犯したら誰でも亡霊に悩まされると思ってよいでしょう。


母の恨みを果たすつもりが拍子抜けした六郎ですが

自分の人生を生きることに今度は悩みます。

復讐だけで生きてきた六郎には自分の人生とは何かということがわからない。

そして故郷に模索の旅に出て、

かつての自分の家に舞い戻っていくわけです。


誰もいないはずなのに庭が手入れされてあり、

導かれるように奥に進む六郎でした。

そしてそこで六郎を待っていたのはなかなのでした。

今度こそ、六郎はなかと一緒に自分の人生を取り戻せることでしょう。



六郎役の藤原竜也が一本気な武士道を熱演して良かったです。

さらに北大路さんが藤原さんに本気で殺人を教えている果し合いが白熱でした。

あの人の目付きは凄みがありますね。

個人的には戸田菜穂さんの出演がひさしぶりで嬉しかったです。


本当に面白かった。


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