タイトルは人の心のなかにある胡桃の部屋ということですね。地味のなかに光る滋味。
桃子(松下奈緒)は、5人家族の次女。ある日突然、父の忠(蟹江敬三)が失踪してしまう。母の綾乃(竹下景子)や妹、弟たちを抱え、桃子は父がわりとなって一家を支えようと奮闘する。

 そんな折、忠の部下だった都築(原田泰造)から、父の居どころを知らされる。おでん屋の女(西田尚美)と下町のアパートで暮らしているらしい。家族の元へ連れ戻そうとアパートへ向かった桃子は、忠との対面を果たすのだが…。




結婚式のシーンから始まりましたが

このシーンは必要か?ってところで後のストーリーに関連があるのかどうか?

でも、松下奈緒、井川遥、臼田あさみと私の好きな女優さんばかりなのでいいスタートに感じました。

特に井川さんのウエディング姿はきれいでしたよ~。



そして一気に5年後、お父さん退職の日の朝の風景でした。

マフラーを忘れたお父さんを桃子がおいかけていきますが

いつもと変わらぬ平凡な毎日だと疑いもしなかったこの日が始まりでした。

そう、お父さんは帰ってこなくて失踪してしまったのです。



竹下母が反対するけれど、桃子は父の部下である都築に様子を聞くことにしました。

そしてわかったことは会社をリストラされ

おでん屋の女のアパートに転がり込んだということ。

なんとそのおでん屋の女は西田尚美さんでした。




ジョンレノンが撃たれて死んだと話題にでてきますが

そういう時代の話だったのね。

なるほど昭和なサザエさん風味の雰囲気が懐かしいような古臭いような

ノスタルジックな不思議な感覚です。



姉の咲良は名古屋にいますがまもなく夫の栄転で東京に戻るところ。

父の失踪は浮気だからいずれ家に戻ると楽観的です。


桃子が帰宅すると母は碁石を磨いていて夫を待つ妻として気迫があります。

それを見てしまうと父がおでん屋の女の家にいることは言えない桃子でした。


そんなところに研太郎が帰宅しますがどうも多摩川のホームレスの中で

父を探してきたようです。

それを知ったらやはり父の姿を見ないことには気がすまなくなり

都築に居場所を聞き出す桃子でした。


困り果てた都築ですが桃子と一緒に鶯谷に行ってくれます。

旧いアパートの二階の窓に洗濯物が干してありますが

赤いブラを取ろうとして出てきたのは紛れもなく父の手でした。

ショックな桃子。

家では頑固で家事など一切したことがない父で、洗濯モノなど男が触るものじゃないと言ってたのに。

泣いてしまう桃子を淡々と支えている都築ですが、家庭では孤立しているそうです。

桃太郎が鬼退治するかと思った。

かつて父が都築に桃子のことを桃太郎と自慢していたエピを語ってくれました。


それで嬉しい事があるからごちそうにしようと電話した桃子です。

家ではうな重の特上を用意して待っていた母たちでした。

ところが桃子はお父さんは女のところにいるという話をしてしまいます。

嬉しいこととは父が無事に生きてる事・・それは確かに良かったけれど

母には良かったのかどうか。

気丈にそして静かに食事をする動じない母。

しかし、何を思ったのか必死にシャツにアイロンがけをして

10枚ぐらいをカバンにつめこみ着替えを持っていってほしいというのでした。

私は大丈夫。何年、女房をやってると思ってるの!


陽子(臼田)はそんな母を怖いといいます。



その頃、お父さんはアパートでタバコをすっていますが

上司からクビを宣告された日を思い出していました。

雨の日ですが傘もささず佇み、そのまま女のアパートに転がり込んだみたいです。

女はホームウエアを買ってきましたがなんと革靴を質に入れたお金だそうです。

いきなりはだけて肩をもんでほしいというのでした。

不器用そうに女の肩をもんでいるお父さん。

この二人は愛人という関係には見えません。



そして桃子は母から父の連帯保証人という話を聞かされました。

父の友人が会社をつぶして逃げたらしいということ。

その保証人残債は547万と利子とかでこの頃には相当な金額っぽいことがわかります。真っ青。

焦る桃子ですが母は「(お父さんは)帰ってきますよ」と動じません。


銀行に相談にいってみますがたとえ父が失踪しても家族で借金を返すということになるようでした。

姉弟で金策の相談。

研太郎は家を売り、自分は出て行くから女三人でアパートを借りたらといいます。

姉たちは結婚するだろうから母親はいずれ自分が引き取ると。

桃子は父がこどものころに貧乏で親戚をたらいまわしにされたこともあるから

家は売りたくないという感覚でいます。

背を測り柱に印をつけていたシーンを思い出し、

不意に父の顔を見たくなった桃子はあのアパートに走りました。

しかし、アパートには誰もいなくて商店街を戻ろうとしたらばったりと父に出会います。

女物のサンダルをはき、買い物カゴを下げていた父。

見たことのない父の姿に逆上して

家を売ると言ってしまう桃子でした。

すまん・・好きにしてくれ・・。



狼狽した父の脱げてしまった片方のサンダルと落としたにんじんとじゃがいも。

それらをアパートの玄関にそっとおいて出た桃子ですが慌てて身を隠します。

なんとそこには着物姿の母がいてじっと窓を見上げているのでした。

家では碁盤から碁石がぶっ飛んでいます・・・


一人ひとりが秘密の部屋を心に隠し、何食わぬ顔をして生きている。

母は翌朝、何もなかったような顔をしてご飯を作っているのでした。


***



お母さんの心情がわ~っときますね。

お父さんが帰ってくる事をじっと耐えて待つ姿に気迫を感じてしまいます。

愛人のもとにいる夫に着替えを持っていけとか、

碁盤をひっくり返したりとか、

葛藤しながらも、気丈さを見せているその顔には裏が見えません。

けれど、怒気迫るものを隠しもってるのだと桃子は母の内側を見た思いなのですね。



定評のある向田作品ですが実は初めて見ました。

この時代がかった空気も素晴らしかったですが

なんの変化もないような日常の家庭をたくみに抉り出すという技がすごいですね。


普通に淡々と過ぎていきそうですが

無表情の中にも竹下さんの恐さがちゃんと生かされていてさすがというところでした。


誰もが心に隠し持つ胡桃の部屋。


お父さんは家族に合わせる顔のなさから女の家に飛び込んだ様子でしたが

あの女とは生活費のことで肩身の狭そうな雰囲気でしたし

ちょっといつまでもあのアパートにはいられなさそう。

でも、まだ帰るわけにいかないのですねえ・・。

さらに、借金問題もあってこの先の展開が見ものです。




尚、このドラマは全6話だそうです。



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