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待った甲斐がありました。今期一番の面白さです。
東京で売れないピアニストをしている十倉由梨(池脇千鶴)は、父の訃報に八年ぶりに芦屋の実家を訪れた。

喪主を務めるのは、父の愛人で今は由梨の継母となっている恭子(高岡早紀)だった。

いらだちを覚える由梨に、十倉家の顧問税理士の永沢(小澤征悦)が遺言を開示する。

そこには、父が創業した会社「十倉ワイヤー」の株券を由梨に遺(のこ)すと書かれていた。

現社長の小野田(笹野高史)から、父の思いをくんでやるべきと言われた由梨だが…。





脚本は金子ありささん。

彼女のドラマは私が最もお宝としている「Stand Up!!」があり

またちょっとやきもきした「サプリ」もこの方でした。

でも力のある人だと言う事は確実で

確か、ヒットした電車男とかナースのお仕事もこの方ですよね・・?

そして今回はかなり力作とお見受けしました。



出演の池脇さんと高岡さんの対立も見所でしたが

何しろ、会社(工場)再生のシナリオが今後に見られそうで

私の好物なことは間違いないという期待感でいっぱいです。


****


売れないピアニストと言われる池脇演じる由梨ですが

冒頭は演奏会で始まっていました。

でも、さらにキスシーンまでありびっくり。

このお相手@古谷が実は父親の送り込んだコンサートのイベントプロデユーサー(?)だったようです。



そして由梨はお父さんの死の連絡で10年ぶりに実家に戻り

お葬式では愛人と対立。

挨拶の途中で中座という子供じみた行為をするのですが

その気持ちもわからないでもないあたりが

このドラマの上手い作り方なのでしょう。


しかし高岡演じる愛人の方がさらに上手なことは見てとれるわけで

それは、年上の余裕とも父親の愛を受けた自信とも思えます。


「十倉ワイヤー」というのが由梨に遺された父の会社ですが

その遺言開示の時はさすがに恭子(高岡)も驚くわけで

その反応に由梨も思わず会社など要らないと蹴っていくわけです。


ここで強力な助っ人として顧問税理士の永沢(小澤征悦)が登場しています。

まだどちらに転ぶかわからない状況のなかで

この人はまずは裁判官のような裁量決定者としての立場を予感させていますね。

そして、工場のうさん臭さがこの人によって暴かれ、きな臭さが立ち込めてくるわけです。


それはマレーシアで作ったコピー機ワイヤーの商品がないことと

経理の帳簿に疑問を感じたことでした。


ただ、ワイヤーの仕事は技術と経験の必要な仕事でした。

針金を細くのばして用途別のワイヤーに変え、巻いていくという作業。

耐久性とか縒り方とか技術のニッポンという凄みを感じさせました。

こういう仕事が日本を支えてるのだという実感です。


その工場の共同経営の小野田が由梨の元に現れ

相続しないなら株を売って欲しいと持ちかけます。


恭子が工場の不審点を疑惑として、小野田に粉飾決算ではと追及しますが

小野田は開き直り本性を表すのでした。

それにより、恭子は由梨に自分に会社をまかせてほしいと言うのでした。

由梨としては小野田に株を売るつもりだからとにべもないわけですが

恭子は父が最期まで愛してたのは由梨だと強調し

社員のためにも会社を守っていくことを意見するのでした。



さて、由梨の状況ですが

お嬢様である事は間違いないようで住んでいるマンションも実は父親の名義だそうです。

父の死により、不動産は恭子のものになったから出て行くつもりではいるようですが。

売れないピアニストということなので

デモンストレーション演奏のアルバイトぐらいがやっとの由梨です。

それなのに、なぜか大きなリサイタルがあるという不思議が最後になって暴かれました。


演奏が終わった由梨の前に現れた恭子は

この演奏会のスポンサーが父親だったことを明かしました。

こんないい話、おかしいと思わなかったの?というあたりが由梨を傷つけます・・。

そう「オレが売り込んでやる」と現れた古谷は

由梨の写真を持っていたわけで、父親が頼んだ相手だということがここでわかりました。

それなのに由梨に手をだしてるわけで男のずるさ全開じゃないですか。


ともかく由梨の前で涼しげに語りだす恭子です。


この間はごめんなさいね。

あんな話、由梨ちゃんには荷が重かったわね。

あとは大人同士で話し合うわ。

あなたのことは私が守ってあげる。

お父さんの代わりに。


一つ上から見下したほほえみで花束を渡し、

去っていく恭子。

悔しい由梨の心に火をつけたのだとしたら

なんと頭のいい人でしょう。


頼りにしていた古谷のそばには誰か女性がいたようでした。

愕然とする由梨です。

そのまま尾行を始め、奥さんと子供で仲むつまじい様子を目撃してしまいます。

涙・・涙・・

そしてリサイタルのポスターを破り現実を見つめました。

自分の実力じゃなかった演奏会って

本当にショック・・・


遺言の意義申立てを主張する恭子は

小野田を自分の監視下に置くと宣戦布告。

そこに由梨が現れ、

会社は自分が守ると宣言するのでした。


*****


娘と後妻の対立という点でもけっこう面白いのですが

それだけなら昼ドラになっちゃいそうな素材です。


そこに一歩踏み込んだ会社の再生が加わると

どんな風になるでしょうか。

経済が絡む面白さは計り知れませんね。


池脇さんて地味な雰囲気ですが

これが演じるとなかなか光ります。

世間知らずなお嬢様というキャラを見事に体現してくれてました。

一方、高岡さんは愛人というキャラがお似合いという定説どおり

今回も高慢そうな嫌味をちらつかせながら

その実は、会社の従業員を大事にしていたり

秘書だった経験がしっかりと描かれていて

なかなか人間的に深みがあります。


今は対立しているけれど

実は敵は誰なのかということが由梨がわかってくれば

おそらく二人が協力して会社を点て直す方向にいくのでしょう。

その二人を支えるのが小澤さんということでしょうか。



「工場がどうなるのか」

この点をちゃんと見ていきたいと思わせる仕上がりでした。

冬期ドラマがイマイチなものが多いなか、やはりNHKはいい仕事をしますね。

全6話。

次回が楽しみです!!



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