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強烈でしたので久しぶりに映画感想UPです。タイトルがまんまなのが微妙ですけどね。(ネタバレあります)
この映画のタイトルを見て、ああアレね~なんてすぐわかった方いらっしゃいますか?

スパイダーマンみたいな超メジャーじゃないのよ。

もちろん私は全然、知らなくて友人から連絡あり

「チケあるから見てみる?」って誘われて

うん?タダなのか・・やった~って二つ返事でついて行ったという始まりなのでした。


で、この映画館(TOHOシネマズシャンテ)も実は初めて入ったのです。

有楽町銀座日比谷には数知れない映画館があるけれど

大抵は大きな劇場で誰でも知ってるタイトルの映画を見てその後に一杯するぐらいが

日常の楽しみ方なわけで

何か掘り出し物を発掘するという趣味もないし、時間もないわけです。

で、この映画は?どうかって?

正直、普通ではないです。

何よりもこの映画館のチョイスがちょっと癖があるみたいでした。


事前調査も何にもせずなので先入観もありませんでしたが

ま、タイトルでちょっとサスペンスなんだろうか?ってそのくらいは察しがつくじゃない?


そして、その不穏な空気をまとったまま、映画は展開するのでした。

世事に疎い私が知らないのは仕方ないですが

ミニシアターとはいえ空席はほとんどなかったような気がします。

みんなどこでこんな情報を得るのでしょう。凄いね!


というそれぞれの思惑はどうでもいいとして

非常に冷めた凍ったような視点から描かれている独特な雰囲気がありました。


で、どういう映画かといいますと・・・


母親エヴァと懐かない息子ケヴィンのストーリー。

息子、ケヴィンが内側にために貯めたものがある日、矢となって放たれる・・。

既視感があるのでもしかしたら実話でこういった事件があったかも?



はじめ、子供の精神に障害か何かがあるのかと思わせるのですが

そんなことはないのだと思うわけです。

子供って素直で可愛いくて、愛らしい時だけではないですよね。

むしろ手こずらせられるほうが多くない?

親の気を引きたくてあの手この手であらゆることをする子だっているし、

たいていは生まれてから三年ぐらいはまさに野獣じゃない(笑

そう思ってればなんでも許せるような気がしますけど。


で、この母親は、非常に冷めた目で息子を見ているような印象があり、

子供が懐く懐かない以前の問題があったという気がするんです。


ともかく子育ての悪戦苦闘が描かれるのですが、それ相当の時を経て

美しく成長したケヴィン少年の横顔や食べるときの唇のアップなど

何か、不思議なものでも見るようなカメラワークの不気味さが

観客を引っ張っていくのでした。


映画の手法ですが、過去と現在を交互に描いていて

正直、私ってば外人さんを識別できないため、

エヴァを覚え切れなくて同じ人(エヴァ)なのかもわかりにくかったです。

そういった複雑さがストーリーを把握する上で困難かというと

そんなこともなく、セリフの少なさがまたこの冷徹さを象徴しているのですね。

その辺の戸惑いも制作側の計算のうちかと思われます。


で、エヴァの現在は少年院にいる息子と面会するために

過去の冒険家としての華々しい経歴を捨て、どこかの事務員となり、

世間の嫌がらせの赤いペンキを落としながら、

一人で暮らしているというところです。

息子と会うことだけが生きている意味なのですね。

なぜなら、息子の矢が事件を起こし、あらゆるものを奪ってしまったから。



ラストシーンである数年後、

坊主になり刑務所に行くことになった息子に

「なぜこんなことをしたのか」と問いかけます。

わからないと答える息子なわけですが

エヴァは彼をしっかりと抱きしめて終わるのです。



そして・・




そして、


あっと思うのですね。


家族4人で夫と娘は矢の犠牲になり、エヴァだけが生き残っていることに。

そうか・・と、ケヴィンの心の中が一瞬見えたように思えるのです。

たぶんここに答があったのだと妄想するだけですが、

映画の中に愛は見えなかったけれど

これから母子なりの愛を紡いでいくのかもしれないという僅かな光は見えたのが

呆然と動けないでいる観客たちに救いを残したのかもしれません。


スケールの大きさや何かの手練手管で面白くおかしく仕上げるのとは一線を画した、

見る人を突き放す毛並みの変わった色があった映画でした。

昔、文学にかぶれていたような人が好むような・・

てか、この友人がどっぷり文学の人なんで(爆

面白いかと問われればどうなのかということになりますが

とにかく強烈だったと答えるのみです。





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