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怒るな、落ち着け、考えろ!
これはカイトが父の峯秋から国枝文書の廃棄を命じられた時に自分に喝を入れたセリフ。

さもなくば右京さんの立場を危うくするなど簡単なことだと

行間に脅迫の空気を盛られたものだから

真っ赤になりながらも必死に頭をめぐらしたのでした。


さて、お正月の「アリス」楽しめましたでしょうか。

タイトルと出演者が「アリス」というのもしゃれていましたね。

広瀬アリスさんは高校生ぐらいのころに畑を耕していたような(?)

素朴なドラマか何かで見た記憶がありますが

あの頃より顔立ちがすっきりくっきりして華族のお嬢様としての雰囲気を見事に演じてました。

キレイになりましたね。

しかし2時間半は長かったです。

途中なんどか集中力が切れ意味がわからなくなりました・・。



ドラマはいわば4つのストーリーが並行していました。

57年前の早蕨ホテルの神隠し。

永沢元子爵の備忘録。

国枝文書。

没落子孫の犯罪。



公安、特高から新警察法への変遷の記録と(国枝文書)、

華族の時代の不正(永沢備忘録)を組み合わせ

セピア色になった写真が畏怖や憧憬を醸し出して

なかなかの世界観を見せてくれました。

練られたストーリーを消化するまでかなり時間がかかりましたが

面白かったです。


ですが、私は一つ悲しい気分でもありました。

「施すものと施されるもの」

この二者の間には大きな隔たりがあり決して交わることはなかったのですね。

施すものとしての誇りは、今の言葉で言えば「上から目線」としての

与える喜びのみを享受していた様子です。


瑠璃子(広瀬アリス)が両親の不正を知り、

そして口をつぐむことを選択したそこには

施すものから施されるものへと転落することの恐怖を悟ったせいだという判断が

「恭順」という言葉で見られていました。(永沢備忘録)

瑠璃子自身はホテルで過ごした時間は無垢な子供の幸せだった時として「宝物」と称しています。

スクラップブックにアリスの挿絵を描きこみ一種の謎かけを残していました。

手紙を残すことは脅迫やゆすりの種になるため

スクラップブックに暗喩(暗号?)を込めて描くのが華族のお嬢様の流儀だったそうです。


敗戦により財産税を90%もかけられた華族たちは没落必至であったわけですが

早蕨ホテルに財産をかくまってもらい没落を免れた華族もいたという(噂)。

実は真実を知った瑠璃子が両親に不正を詰め寄ったが

逆に「施す者から施される者への転落」を示唆されたために(不正を)

受け入れたのではないかという記録です。

そして瑠璃子の失踪。

57年前ですから「神隠し」という言葉で残っているわけです。


その真相は、ホテル滞在の華族たちが宿泊代を払えなくなったわけですが

いつか払うと平然とした(華族たちの)態度に

詐欺だと常々怒っていた(当時ポーターだった)久三が

瑠璃子に詰め寄った時に事件は起きたということなのでした。

それは右京さんの推測でありながら的を射ていたのでした。

久三の目の前で瑠璃子は崖から身を投げ、いずれ施される側に転落する自分を

拒否したように自殺したということです。

しかし、ポーターだった久三としてはホテルの窮迫を

まるで瑠璃子が犯した罪のように糾弾したのかもしれません。

隠した財産を売りホテルに支払うべきだという主張は確かに正しいのですが

瑠璃子は不敵に微笑んだまま身を投げたのですね。

久三は恐怖したのでしょうが、身柄をレンゲ畑に埋めたということで一種の罪滅ぼしをし、

誰にも洩らさなかったので57年間神隠しということになっていたのでした。

その後の話だとやがて久三の自死という結末へと導いたようです。


もしも、子爵であった両親が瑠璃子に違う言葉で諭していたら

もっと違う結末があったのかもしれません。

「施す者」。

なんという傲慢で嫌な人たちだったのでしょうね。

生まれついての華族という血筋は誰にも侵せない高貴なものだったのでしょうが

それは誰のおかげでその環境を維持できたのかとそもそものルートをたどれば

決して尊大におごり高ぶることなどできますまい。

しかし受け継いだものが華美を享受する時代が確かにあったのだし

それも一種の文化だったのですね。


施す者たちはあまりある財産を持ち、

持たない人々に腹いっぱいの粥をあたえたのでした。

そして自分たちはステーキとケーキと美酒を楽しむのです。

どうだお腹いっぱいになったでしょうと自分の行いに酔い、納得するのです。

与えられる者が甘んじてその行為を受け入れていることを知り

そこに感謝しなければいけなかったということを

聡明な瑠璃子が気づかなかったわけがありません。

華麗な日本の文化を彩った人たちの黒い闇を吸い取ったような

瑠璃子の死でした。

財産税というのは酷いけれど変革の推進という側面を担っていたのかもしれません。


そうそう警察の記録をしたためた国枝文書。

国枝という人を早蕨ホテルのオーナーつまり茜(波瑠)の曽祖父(?)が

かくまっていたらしいのですが、それが右京さんそっくり。

茜の大叔母の朋子と親友瑠璃子が、かつてロビーのピアノを弾く国枝を見て胸キュンとした

青春の一ページがあったのでした。

今も右京さんは胡散臭い警察組織と戦ってるわけで

同じ顔の人は同じDNAを持ち、同じ仕事をしているのです。


そして財産の隠し場所は地下。

アリスのお茶会の挿絵は永遠にお茶を飲み続ける図なのですが

時間が止まったストーリーにより謎解きへと思考が入り込みます。

時計と朋子の象徴とされる雛菊、そしてホテルのレターセットの挿絵の月下美人。

忙しく頭をめぐらせた右京さんが月下美人の「闇に咲く花」を採用。

二百郷家の6時で止まったままの柱時計に注目し、数字だと叫ぶ右京さん。

時計を右に左に8323987と金庫の数字盤をまわすように動かしたら

地下へと続く床扉が開いたのでした。

前回、竹筒や鈴の音でミイラを推理したように

右京さんの手にかかると解けない謎はないですね。



**********


不思議の国のアリスの挿絵を入れたのが

まるでファンタジーのような雰囲気を醸し出し

幻想的ですらあった「相棒」でした。


峯秋から国枝文書の廃棄を厳命されたカイトですが

その文書の箱を開いたらカビで判読もできない恐ろしい物粉になっていました。うわっ・・

国枝文書が世に出たら警察の威信が消えるとか言ってましたもんね。

毎回その件については必ずセリフに出てくるのですが

正月早々さらに昔から、

そのセリフが存在したことをうかがわせるのがおかしかったりもしました。

ともあれ、峯秋が公安のトップらしいことがわかった回でした。

冷たい空気をまとう峯秋ですが納得しました。


57年間、罪の意識を持ちながら生きてきたであろう久三の死も切ないですね。

瑠璃子の不敵な顔があったけれどその内面を右京さんが推理してくれて

それまで抱いていた瑠璃子の気持ちが違うものであったことを知り

自分の罪を悔いたということでしょうか。


いつまでも子供でいられない自分。

いずれ身を落とす恐怖。

瑠璃子は時代の犠牲者だったのですね。


しかし、一方では同じように国を恨みながら没していった人たちの子孫が

財産を返せと犯罪に走ったわけです。

それを右京さんは

皆、耐えて理不尽を受け入れたと強く叱責しました。


しかし、さらに言うなら

施される側の理不尽さを真に思うべきではないかと脳裏をよぎったのでした。







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