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イメージを伝える手段として絵日記は優秀テクでした。そして今週のキーワードは「許す」こと。
究極のボンビーシングルマザースタイルから始まったこのドラマ。

小栗君が亡き夫役。

過去にボンビードラマに主演していた小栗君なので

妥当なキャスティングと思われた出だしでした。

さらに小春の病気が発覚し、

不幸のてんこ盛りのサブタイトルがつきまとった中盤。

しかも栞と紗千の異常なやりとり

浮世離れしたナマケモノさん。

不思議な世界に違和感も疑問もありましたが

それでも見続けたのは

小春と子供たちのかわいさが癒してくれたからですね。


その日、小春(満島ひかり)、望海(鈴木梨央)、陸(髙橋來)、
そして紗千(田中裕子)、健太郎(小林薫)はいつものように明るく
穏やかな朝食の時間を過ごす。
しかし、紗千と健太郎は内心、気が気ではなかった。栞(二階堂ふみ)が
受けた骨髄適合検査の結果が出る日だったからだ。
祈るような思いの紗千と健太郎。
そんな折、由季が段ボール箱を抱えてやって来る。
中には預けていた信(小栗旬)の遺品の数々が入っていた…。



そうめんを義務で消化するって大変そう。

小春はノルマを果たせず罰ゲームとなりますが

笑いながら怒る人を首をふりふり演じます。

なぜ、笑って怒るのかと紗千も首をふりふり疑問を口にしていました。

小春の気持ちがおそらくここに集約された最終回。


栞の骨髄が小春と適合するかどうかがわかるこの日は

朝から、その一点だけのために回ってる状態。

何をしても誰がしゃべっても適合してほしいの祈りだけが空に響くのでした。


そこに栞が訪ねてくるのです。

外に出たふたりは、ワンちゃんをはさみベンチに座りますが

劇のせりふを読み合わせしてるような阿吽の呼吸で言の葉がつながっていきました。

信さんが生きてたらおそらく言ってたであろう言葉と栞が夢の中で会話したことが

現実のように二人を姉と妹にしてくれようとしているのです。

二人が会ったらきっとうまくいくよと。

しかしそれは栞が選ばなかったのだからとやんわりと拒絶する小春です。

それでもひるまず、もしも適合したらその時だけは妹と思ってほしいと

栞は言い置いて病院へ出かけるのでした。


外は大雨になり帰ってきた望海は大喜びでウォータースライダーのようだと

濡れながら回りますが

小春も陸も紗千まで出てきて雨にうたれながらぐるぐるとまわるのでした。

楽しいことは続き、望海の絵日記は大きなハナマル。

ナマケモノさんのエサは何かと書かれていて人間と思われなかったのがまた爆受け。

こどもたちとかくれんぼをする小春。


そこに待ちに待った結果報告。

ウンとうなずき首を垂れた紗千と健太郎に、受話器をおとした栞。

しかも栞は自転車をなぎ倒し、植杉の二人は抱き合って泣き、

これはダメだったのかと落胆のような気持ちでいたら

なんと一生医師が大笑いしながらイスから転げ落ちた。

ハナマルの方だった!

複雑な顔の小春ですが、信さんの祭壇をみて、涙をぬぐいました。

そして思い出しました。

信さんと将棋しながらの会話。

なぜ山に登るのかと問う小春に生きている答えを知りたいからだと返した信さん。

それは本の最後のページにに書いてある事と同じなのだといいます。

だけど生きていることに答えなどなく最後のページを自分で読むこともできない。

子どもたちが見届けて読んでくれるものだとある日悟ったのだそうです。

だから子供たちに恥じないように一生懸命に誠実に生きていく。

そしてその子供たちの子供たちがまた読み継いでいくのがこの世の営みなのだと

ふたりで確認し合ったあの日。


植杉家は子供たちの笑い声が響きますが

そこに栞がやってきました。

顔を出さず、小春は語りかけます。

まだ許せるかどうかはわからないけれど、子供たちがいつか真相を知ったときに

彼女を憎んで欲しくない、信さんを好きな気持ちで誰かを憎む感情を持ってほしくない。

人を大事に思う心が憎む気持ちに変わったら辛いから。


子供たちの子供たちが知った時、恥じない生き方をしようと

信さんに言われたことが頭のなかでめぐりにめぐった小春でした。

だけど、今はまだ許したい許せないの葛藤がぐるぐるウォータースライダーのようです。

検査を受けてくれてありがとう。手術の時はよろしくお願いします

私の妹に伝えてください。・・・初めて妹と認めた小春でした。

あなたのおかげで生きられる。

だからあなたも生きてください。



その夜は小春と紗千のワインパーティ。

ふたりは子供時代の話になり、台風で停電になった小春を案じて

入院していた紗千が戻ってきたエピを披露し

長い間の霧が晴れたように笑いあうのでした。


舞台は変わり、物語は絵日記のなかに展開されます。

三人で観覧車にのった翌日に小春は入院しました。

除夜の鐘をききながら祈り、

学校の帰り道に祈り、

流れ星に祈り

豆まきをしながら祈り、

母の帰りを待つ望海の気持ちが明るいタッチのなかに込められています。


そして4月の日に庭で遊ぶ二人のところに小春は帰ってきました。

*****


4月10日晴れ。おかあさんが帰ってきました。


なんて嬉しい結末でしょう。

遠き山に日は落ちて。

まどいせんの詩のように植杉の家で子供たちはのびのび暮らせそうです。


許せないという気持ちを維持していくのはかなりエネルギーを使います。

内側に憎み許せない気持ちをもったまま

笑顔を作るのは実にぎこちなく難しいもの。

けれど小春はさまざまなものを封印して完璧に子どもたちの笑顔を守ってきました。

小春にとっての人生はたぶん笑いながら怒る人だったのでしょう。

思えばあまりにも理不尽と戦ってきた小春でした。

子供のころに母に捨てられ、

いきなり夫を亡くし、窮乏のあげく役所に頼っても拒否されてしまいます。

しかし、母の元へと連絡が行ったことが大きな転機となりました。

憎んでいた母はDV被害だったことがわかりこれまでの苦しみが氷解していきます。

一方で夫の死の真相には栞が関わっていたことを知り栞への憎しみが増大していくのです。

その栞自身が苦しんでいたことを悟り、

許せるかどうかの葛藤のなかで、最後には妹と認め、

受け入れることで未来を手にしました。

母を許す感情を得たように、

いつか栞を許せる神のような心境になった時

初めて信さんの大きなものがわかるのかもしれません。

(子供たちに)信さんを好きな気持ちのなかで誰かを憎んで欲しくないという

まさに自分がそうでありたいと願った瞬間なのでしょう。


ひとまず小春の運命が開けた他方で、研修医と役所職員の離婚がありました。

手を分けて育てるのではなく手を携えるべきだったと言うお父さんでした。

この二人で思い出すのは前回だったか、

子供が父でも母でもなく

託児所を選んだと言う爆笑のエピですかね。



もう一つ、信さんの名誉の回復がまだされてないのがやや残念です。

信さんを突き落したあの男を栞がせっかく突き止めたのだから

ネット内のニュースを削除すべく動いてほしかったですね。

ただ小春が元気に戻ってきた今、

その件はこれからおいおいと解決していくという含みなのでしょうか。

とにかく生きていて良かったとしみじみしています。


毎回、重苦しいながらも

小春の健気さとかわいい望海ちゃんと陸くんに誘われて最終回まできました。

セリフに魅力を感じた、余韻の残るドラマでした。

秀作。




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