ただ生き続けてほしい。それだけが願い。

「生きてね、ずっと・・生きて・・・」


ゆらゆらと震える指先が示すボードの文字。


せりあがる激流をとめようとしてもあとからあふれ、


滴り落ちる頬をぬぐうこともせず、ただうなずくばかり。


ノートの最後にはひとこと


      ・・・「ありがとう」の文字が。


   


20歳になりました。病状の進行には恨めしいばかりです。


サインペンを握り締め日記を書き綴っています。


殴りつけるように一文字ずつ、痛々しく胸が締め付けられてしまいます。


亜湖の絵が飾られている東高へ行きたい。


    15歳の亜也へタイムスリップ。


    確かにわたしはここで生きていた。


亜湖の絵の何てリアルなことでしょう。


15歳の亜也が息吹いていました。


ここで指揮した3月9日。遥斗の自転車に乗った日の思い出。


大事な出会いもすべてここから始まったのに。




しかし刻々と進む亜也の病状。ついに歩行困難となりました。


呆然として沈むばかりの亜也。


「お母さん、わたし、何のために生きているの。」


何も言えない。何も答えられないけれど、


生きてくれるだけで明日には奇跡が起こるかもしれないのよ。


とにかく生きてほしいの。



医学生達に話しかけられます。失礼な人たちです。人間として最低。


しかし医療現場では当たり前の光景なのです。


最高の勉強をしてきてもこうなのですから、さらに末端の現場では


人間の尊厳を守るということがいかに難しいか想像に難くありません。


遥斗が「もっと勉強してほしい」と訴えても流されてしまいました。


少しだけ溜飲を下げつつ、これから医療を学ぶあなたたちへ


どうかこのシーンを心に強く留めておいてほしいのです。



一足早いクリスマス。亜也は一晩だけの帰宅を許されます。


家族に包まれほっとくつろげるひと時。


亜也は妹たちにプレゼントを用意していました。


自分のために皆が我慢していることを知っていた亜也。


「お母さんを独り占めにしてごめんね」 一瞬、胸が詰まります。


そして記念撮影。


   嬉しい。心臓が動いている。私は生きている。


なんでもない当たり前のことがこんなにも感動してしまうのは


亜也の生きようとする姿勢に励まされているからでしょうか。



瑞生は遥斗にそれまでの感謝を伝えていました。


そして自分の人生をきちんと生きてくれと。


遥斗の父は潮香に亜也との時間を大事にするように話しています。


自分の長男には別れを言う時間が無かったという父親。


父は遥斗にも、もう自分の思う通りにやれと伝えました。



その前に、水野医師は亜也から遺言のように献体の話を託されています。


亜也はすでに心積もりをしていたのですね。


決して亜也を見捨てないと言い切った水野医師ですが


進展のない研究に自棄ぎみになってしまいました。


目の前の患者を救えない。さぞ悔しかったでしょう。


ドラマは17年前の出来事です。それから何か光が見えてきたでしょうか・・。


残念ながらこの説明はひとつもありませんでした。水野医師が発表している


傍らで他の医師があまり友好的にも見えず悔しそうな顔もしています。


医学の進歩こそ私たちが求めるものなのです。ドラマを通じて


この病気を知った私たちが一番気になることを置き去りにしてはなりません。



遥斗は水野医師から頼まれたハガキをもって病室に向かいます。


もう会えないと手紙をもらった遥斗ですが瑞生や水野医師からの言葉に


再び病室を訪ねているようです。


カーテン越しに手紙を読む遥斗。


   死んじゃいたいと思ってた・・・。と言う書き出し。


   病気になってからうつむいて地面ばかり


   見ていたことに気付いた少女が、亜也の文集を読んでから


   辛くてもいっぱい泣いてもその分だけ


   ちゃんと前に進みたいと亜也のおかげでそう思えたという手紙でした。


亜也、キミはこんなにも誰かの役に立ったんだよ。


遥斗は言います。


   「人が死のうがどうでもいいと思ってた。


   けれど今はお前には欲張ってでも無理にでも


   ずっと生きててほしい・・」


遥斗の願いは私たちの願い。ぽろぽろと光るものが伝います。


遥斗と私たちは同じ涙を流し、その日がいつまでも来ないことを祈るだけ。


それからさらに病状は進み思うように話せない亜也がいました。


ボードを指差す亜也にゆっくりとつきあい自然な笑みの遥斗。


何気ない冗談に微笑が漂うクリスマスの日。


日記を読む遥斗。


  「あせるな、よくばるな、あきらめるな・・・」


  「自分だけが苦しいんじゃない・・」


亜也の心からのほとばしる声を綴った日記が読み続けられています。


涙でにじんだ声に心から亜也への愛しさを感じます。


亜也の苦しみを知る私たちには涙なしには聞けないシーンでした。


『お前、頑張ったな、がんばって生きてきたな』


しみじみと語りかける遥斗にじんわり癒されます。


     「そうだよ」


     「いばんなよ」


しかし静寂のなかでボードが示す文字に胸をつかれました。


     『生きてね』


     『ずっと・・生きて・・』


「わかった・・」


これは亜也の遺言だったのでしょうか。


遥斗の涙に洗われたように世界が潤んで透明に見えます。


亜也は夢のなかでバスケットのシュートを決めていました。


微笑みの亜也に布団をかけながら


どうか神様、お願い。夢ならいつまでも覚めないでほしい。



それから5年。


花に囲まれて亜也さんは天国へ旅立ちました。


1年後、墓前にたくさんの人たちがあつまってきます。


亜也さん、あなたはこんなにも多くの人たちに希望を与えてくれたのですね。


一生懸命生きてくれてありがとう。




短い生涯を必死に生き抜いてくれた亜也さんからたくさんの励ましと


生きる意味を教えてもらいました。日記に綴られた数々の言葉は


どれもこれも心に染み入り、そして勇気を与えてくれたと思います。


今、暗闇にいるあなた。


どんな時でもあなたの隣にいる温かい人は


いつでもあなたの手を握り、笑顔が戻るのを待っています。


時間がかかってもいいのです。


きっと今は苦しいと思うけれど、それでも生き続けて欲しい。


それだけが願い。




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