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日本アカデミー賞受賞作品となりましたので過去レビューを再度上げました。

今、ざっと読んだらやはり涙になってしまいます。ほんとうにいい映画でした。

以下、(15/6/28 エントリー)のレビューです。
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しみじみじんわりと心をとらえる逸品。わけもなく涙があふれてきて困った困った・・笑 (注/ネタバレありです。)

「海街diary」

海の町で育った私としてはタイトルから目に親しげで惹かれました。

原作知りませんがまあなんたって吉田秋生なのでそれだけで間違いないと思い込んでましたしね。

そしてもちろんその通りでした。

激しいものなど何一つありませんし、事件も起伏もなさすぎなのに

それがすごく心地いいのです。

こんな映画は「舟を編む」以来の出来と思えます。

ダイアリーなので日常風景を切り取ったというそれだけなわけでさざなみぐらいの波ですが

そのちょっとずつの変化と四季のうつろいに気持ちよく揺られていました。


ざっとストーリー紹介しますと

鎌倉で暮らす、三姉妹(綾瀬、長澤、夏帆)のところに

離婚して出て行った父の訃報が入り、山形での葬儀に行くというシーンから始まります。

長澤、夏帆の二人が長姉綾瀬から頼まれて行ったけれど、

結果として綾瀬も山形に現れ、異母姉妹のすず(広瀬)を見て何かを感じるのでした。

山から下界を見下ろすこの町は裾に三角状に広がりまるで鎌倉の風景と同じ。

帰りの一両車両に乗るとき、綾瀬はすずを鎌倉で一緒に暮らさないかと誘います。

即、行くと答えたすずでした。

四姉妹になった彼女たちの鎌倉での生活、ダイアリ―がとにかく目の保養。

悩み、仕事し、恋もちょっとして、ご飯を食べ・・

日常がゆったりとした風景の中ですぎていき、

最後も親しくしていた風吹さんの葬儀で終えました。(はしょるとこんな感じ/笑)


鎌倉は友人がいるので何度か訪れてますが、すぐ海の方なので

あの江ノ電なども、そうそうこれだ~などと思いながら見てました。

姉妹の家はかなり上の方でしたがあの古びた家自体が懐かしさを誘い、味わいがありましたね。

(そういえば綾瀬さんが「縁側」が好きと言った時には某ドラマを連想し吹いてしまいました)

私の実家も海の街ですし、実家は別の意味での日本家屋ですが

海の香りが漂ってくるようななつかしさが映画を覆っていて

先年亡くなった両親とオーバーラップしてしまい、

終始涙腺が緩んでしまうのです。

この空気感は是枝監督の得意とするところのようです。


最初の葬儀のシーンでしたが

再婚した妻が泣いて葬式の挨拶もできないというありさまで、

すずにあいさつさせるというところがあります。

弱々しいこの母親に対して、反対に気丈にふるまっているすずをみて

一瞬で綾瀬は自分と同じタイプの子だと見抜いたのですね。

葬儀次第は大人の仕事だから子供にさせてはならないと厳しく戒めてくれたのでした。

綾瀬さんの天然は有名ですが、少なくとも映画の中の長姉ぶりは見事に演じ切っていて

ほれぼれと見ていました。

そういえば、堤さんと不倫関係だったのも驚きました。

堤さんが出演だったのにもびっくらでしたし、綾瀬さんに似つかわしくない不倫だったのも(笑

離婚してアメリカに行くからついてきてほしいとプロポーズされますが

悩みに悩み、断る綾瀬でした。


すずはかわいいのですぐに学校でも打ち解け、サッカーも上手で大勢の人気者になっていきます。

ですが、居場所のない感覚を背負って生きているわけで「ここに居ていいのか?」という疑問が

いつもついて回っていたのでした。

父親が再婚する前にほかの人との間に生まれたのがすずで、

再婚した(山形の)妻との間には男の子が二人いて、非常にややこしい微妙な立場だったと想像を絶します。

自分を押し殺して今後も生きていかねばならないすずを考えたら、綾瀬が鎌倉に誘ってくれたのは

本当にありがたいことでした。

当初行かないはずだったのに堤さんが押してくれたから山形に行ったのだし

結果として行って良かったと後に綾瀬が堤さんに語らっていたたのですよね。

ラストでは、生まれてきてよかったのかと悩むすずに

「ここに居ていいんだよ」と抱きしめてくれてそりゃもう滂沱の涙を誘うのでした。

綾瀬さん、堂々のお姉ちゃん一等でした。


四姉妹には「父」という共通の人物像がありながら

綾瀬とすずの二人だけが父との時間を長く過ごし、

長澤と夏帆は幼かったからあまり記憶に残っていないという状況がありました。

けれどもお父さんがこうだったと皆で語り合ったりはしないのですね。

なんとなくしちゃいけないという暗黙のイメージがあったのでしょうか。

すずは風吹さんの食堂で食べた生シラス丼を後にお父さんが作ってくれたとこっそりと打ち明けました。

それと、釣りの好きな夏帆には、父親から川釣りに連れて行ってもらった話をして

そのDNAの確かさを教えてあげたりもするのでした。

お父さんの話を聞きたくなったらおいでと言ってくれる人もあり、

温かい鎌倉の人たちにすずも心が伸び伸びと成長していきます。

気づいたらいつのまにか「お姉ちゃん」と呼んでいて

姉妹っていいなあ~と羨ましくなったりです。


次女役の長澤さんはもうこれが足の長さと細さに目が釘付け。

なんとなくエキゾチックな雰囲気もあり、かつてのまさみちゃんとは思えない「女」を感じました。

そういえば、会社の上司が加瀬さんなんですよ。

堤さんと言い加瀬さんと言い、なんでこんな豪華なのに脇みたいになってるんでしょう・・

この豪華無駄遣いも是枝風なんでしょうかね(笑


私が涙になるのは決まって「梅酒」のシーンでした。

我が家も両親が毎年梅酒を作ってくれたので。

青い梅を洗って氷砂糖とお酒を入れて

次第に梅酒の色が濃く変わっていき・・懐かしい・・ただ懐かしい・・うるうる


***

冒頭とラストで「お葬式」がある映画ってなかなかないですが

さらっと流れているのでほとんど重く残りません。

ダイアリーなので生まれてきて死んでいくのも日常の中にあり

それだからこそ毎日が愛しく大切なのですね。

そして再婚力。

4姉妹の両親は離婚したけれどそれぞれが再婚していて

それなりに自分の幸せをつかんでいたのでした。

今でこそ皆、普通になんでもなく離婚して再婚して・・とよく聞きますが

彼女らの両親の時代はそうでもなかったはず。

けれども次のお相手がちゃんと現れ再婚に結びついてるので

生きることに対しては前向きだったと推測できます。


翻ってこの両親のDNAを受け継いだ四姉妹はどうなのかといったら未知数としか言えません。

少なくとも長姉は妹たちのために家に残る決心をし、

次女はそんな姉の気持ちを知り、外に(堤さんに)向かわせますが結果として

家にいることを納得しています。

今は四人でいることが心地よい姉妹・・

もっともっとこの4人の生活を見てみたいと思えるのですよね。

続編いかがでしょう?

でも是枝監督のドラマはなんとなくですがやめた方がいい気がします(^^;

やはり監督は映画で表現するほうが才能を生かせると思いました。

映画のこの四季の中で古びた家や紫陽花や海などが

目に優しくて気持ちがいいのです。


ある夏の日、姉妹の成長を刻んできた柱にすずも背を図りました。

ここに生きていると、証を刻みました。



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