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日本のものづくりに革命を起こした男です。山田日登志さん。
以前、朝日の土曜版にも載ったことがあるんじゃないかな・・・(違う??

年間3億の赤字を出していた工場を一人のリストラもせず3年で黒字に変えた実績を持つ人です。

常に50以上の依頼をかかえ全国を飛び回っているそうですが、

その工場は機械関係のみならず、食品も家具も工場という名がつくなら何でも来いのようです。

そして300以上の工場を立て直してきたという。

とっても柔和な顔をされていますがいざ工場にはいると厳しく無駄を見つけるそうです。

製造業は人件費の安い中国との激しい競争にさらされ赤字になるところが続出。

そんなところに救世主としてこの人が登場し地獄から救われたという経営者がたくさんいるわけです。

この方の提案を現場を知らない人という見方をする職人さんも多いでしょうから

「お前のいうことなんか聞けるか!」とクビを絞められたこともあったそうです。

現場との衝突が一番のネックですが、この人の提案を受け入れてそれから良くなっていくのを

見るのは本当にいいもの。自分の手がけてきた工場が黒字になったという報告が

一番のご褒美ではないでしょうか。


広島のふりかけメーカーに行く山田さん。

すぐに着替えて工場視察。予備知識なしで現場を見るのがこの人のやり方。

どこに無駄があるかを発見し、無駄を省いて余った人材を別の仕事に割り当てるというのが山田流。

ベルトコンベアーの流れ作業についている人が一人で2作業、2工程できることを見つけていました。

この日、一日で50の無駄を見つけたそうです。1年後にまた来ると言っています。

何より大事なのは「自分で考える社員を作ること」


岡山の自動車部品メーカー工場。

2億の赤字を昨年改革し黒字に転じたという工場に視察。

無駄な工程を省くことでスリム化した工場ですが、

もう一つやらなければならないのが社員の意識改革。

指示待ちということで自分から動けない状況になっていたことを変えて自分で考えて動くことにする。

社員に仕事をする誇りをもたせるということでした。

「覚悟を持って突き放す」

部品をおく倉庫のベルトコンベアーをはずすように、あとは自分たちで考えるように指示。


山田が生み出した工場改革とは「セル生産方式」

流れ作業ではなく、一人であるいは数人で製品を完成させるというやり方。

それによって社員は自分で創り出すことに工夫をこらし、逆に生産能率が高まったという。

社員は「お金じゃない喜び」を仕事に見出したという。

そして次々とアイディアを打ち出し、会社を黒字にしていくパワーとなったそうです。

その工場の女性がエンデバーに会社の製品が入っていて宇宙に飛んだと報告していました。


このように忙しく全国を飛び回っているため平日は家には帰れないそうですが

週末に帰ったときは奥さんを7回以上褒めて、一緒に居る時間を濃くしているそうです。

68歳ですって。熟年離婚されそうな男性諸氏は見習わないといけないですね^^


工場にある無駄を取り除く。

一人でできる工程を複数もつことで時間の無駄も見つける。

作業の場所の移動の無駄によりスペースの無駄を指摘。

探すといくらでも無駄が見つかります。

例えば、脇において流れてきた製品に何かをつけるというとき、脇から部品をあげるのに数秒かかる。

ならば目の前に置くという発想に切り替えるのでした。それにより数秒得すれば

一日に何十分と浮く時間があるわけで他の仕事ができるということになります。

スペースも人も半分くらい余るようになったら、もう一つラインを作り新しい製品を作ることができる。

時代のニーズに合わせて多様化している製品に応えていけるような生産ラインを作ること。

これができる工場なら強いのです。


地元の繊維産業から出発した山田さんがトヨタ方式の師に弟子入りして学んだことを伝授してから

どんどん赤字工場が黒字工場に変わっていったという。

しかし中国の台頭により競争に負けていった工場もたくさんあるそうです。苦渋の顔です。

そしてワープロ工場を変えたのをきっかけに予期せぬことが起きた。

それは、一人で製品を組み立てねばならなくなった社員が反発するかと思いきや

逆に社員の士気を高め、工夫を生み出し、やる気を引き出したということでした。

これが先のセル方式。

日本のものつくりを残すために何をすべきか?by茂木

「仕事が楽しいと思う人間を作る」by山田


そしてラストは飛騨高山の曲木の家具工場。

名門の家具ですが、中国アジア競争に負けて赤字が続いています。

2年間、提案を出し続けていますが実行されてません。

それは職人たちが品質を落とすという懸念から変化を受け入れられないということでした。

伝統を維持するというのはファンがあってこそであり、ファンがいなくなったら、

つまり買ってくれる人がいなくなったら伝統も何もないわけです。

それを最初に言ったことで職人達もがびーんとなった??

そして工場視察。

曲げ木のところの工程を見ています。

蒸したり乾燥させたりと木を曲げるための工程がいくつもあるのね。

それに何人も張り付き、製品の無駄もあり、たくさんの無駄がでてきました。

きつい言葉で職人達を刺激していましたが、責任者の澤田さんがきちんと反応してくれた。

4つの工程の時間を計り、その間に検品し、磨くという作業がある。

それを一人で全部することという課題。

時間を計って、動きやすさも見て、移動すること動きや場所やそういったことも全部自分で考えて

少しずつ改良していき、40秒の課題を、35秒まで縮めることに成功。

きちんと動きを見つけていった澤田さんでした。

結局、そういう工夫を考えるというのは職人として楽しいのですね。

自分から「こういうの好きだ」と言っておられました。


プロフェッショナルとは?

「使命を感じて時間を費やす。それを人が称讃してくれるような人をプロと呼ぶ」



面白かったです。

工場再建というけれど無駄を省いてどこに黒字になる余地があるのか今ひとつわからなかったですが

「工夫を凝らす」というのは楽しいですよね。

家の中にだって工夫が転がっています。

お料理する時だって最初にゆでるものをゆでてしまってからそれぞれ別の料理に使うとか

お料理の工程が頭に入っていると早いですよね。

そういった工夫の仕方に通じますし、

会社の仕事だって、例えば切手貼るのだって、一枚一枚ちぎってスポンジに一つつけて・・なんて

やりませんでしょ?事務のお姉さんの仕事を見てて感心しましたよ。

最初にざ~~っとスポンジにつけて、全部濡らして、それから貼っていきながら

ちぎっていくように、少しでも時間の節約の工夫を凝らすじゃないですか。

どこにでもどんな仕事にでも工夫の仕方はあるわけで、それの規模が大きくなったという感じです。

工場でそれまでそういうことができなかったのは、

ひとえに規模が大きすぎて構造を変えるということに臆病になっていたからでしょうかね。


改革案を出されて素直に従って伸びていったものの勝ちですね。

無駄をなくし工夫を凝らすというのは誰でも思いつく発想ですが、

セル方式というのは画期的でした。

それまで流れ作業で自分の仕事に対して面白みも何も持てなかった職人たちが

一人で最初から最後まで責任を持って作り上げるという方向に転じたのが非常に良かった。

仕事を任されて嫌になるどころか逆に誇りを持って仕事をすることができたのは収穫。

会社が生き生きして変わってくるというのがとってもよく分かりました。

人材というけれど人を生かすという発想ができたのが良かったんですね。


めったに家に帰れないけれど帰ったときは奥さん孝行に努めるというのもとっても好感。

優しそうなお顔でしたけど、この人の奥さんは幸せでしょうね。

このお年でも忙しく全国飛び回るというのがますます羨ましい。

一生仕事を持って働くくらいの気概があったほうが絶対に人生は楽しいですね!


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