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昨日、テレ朝で「相棒」の劇場版が放映されていましたので、こちらに持ってきました。(以下ネタバレ)

以下は約一年前、映画を見たあとの感想。(08/5/26)の記事です。

最後、ちょっと泣きました。闘うお父さんでもありました。


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オープニングは、エルドビア共和国の子供達とNPOがお散歩のところを軍車が走っていく様子。

純粋そのものの子供達の笑顔が見えます。次は一転してその写真を焼いている様子が映されます。

実はこれが何度も出てくる幽霊のような存在「Sファイル」でした。


そして事件はテレビ塔にキャスター仲島孝臣がつるされたことに始まります。

もう一つ、衆議院議員の片山雛子に小包爆弾が届き、特命の二人のところに護衛の依頼が来たこと

で事件に入っていく、杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)。


二つの事件は実は関連があった。会員制のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)に

処刑リストの掲示板があったという。その中に二人の名が載っていたらしい。

探すと過去に交通事故で死亡していた判事や美容整形医もリストに載っている処刑手段で死亡していた。

共通事項として被害者全員に面会に来ていた20代女性という線が浮かび上がる。

それが守村やよい@本仮屋ユイカでした。

やよいを事情聴取してみると弁護士の強硬な防御に遭い、この大仰な保護は何なのか?と思って

しまうくらいの強さがありました。この弁護士は松下由樹さんが演じてました。かっこよかった。


そして分かったことですが、やよいは5年前の兄のNPO活動での被害により改名していたのでした。

父親も大学教授を辞して、隠遁生活という状況。

それは兄がエルドビア共和国で子供たちへの教育活動を行っていたところに政府が退国命令を

出したというものですが、それに従わずに拉致され、身代金要求に応えなかった政府の方針が

ありました。この時のマスコミ報道は自己責任ということで兄に対するバッシングは凄いものでした。

結果として、兄は銃殺されそのシーンが映像として流れました。

マスコミはそこでいっせいに報道を止めたのですが、家族に対する世間の風当たりもあり、

名を変えていたということです。この人権保護を申し立てたのが松下由樹さん扮する弁護士というわけ。

これが先だっての事情聴取における守村やよいの保護だったのでした。

やよいは兄の友人の塩谷@柏原崇が一連の事件の犯人だと思うと伝えてきます。

5年前、塩谷が行くはずだったボランティア活動を土壇場で兄@渡に交替したことでの自責の念が

この事件を仕組んだという。塩谷を救ってほしいというのがやよいの願いです。



さて事件はこの時にバッシング発言した者への犯行が端を発していますが、ひいては兄@渡を見殺

しにしたこの国全体への復讐という方向に向かっていきます。

それが東京マラソンという一大イベントを利用し、無差別大量殺人として行われると予想されます。

そこに至るチェスの棋譜を読み解く様はかなり面白いのですが事件の本筋とはほぼ関係なかったのでした。

強いていえば真犯人が解決者@警察にある程度の頭脳者を求めていたということでしょうか。

ただ、このマラソンの最後の表彰式だけは真犯人にとって必要な場だったのです。

しかしマラソンコースの爆破のポイント発見などはかなり緊迫します。

また川に飛び込む亀山も相当な難演技ですが、敵対している他部署の刑事と協力体制なのも面白かった。


塩谷が行きそうな場所を教えてくれたやよいですが、右京さんが倉庫に行ってみるとすでに塩谷は毒

を飲んでおり絶命寸前。そしてその倉庫に閉じ込められた状態になり、爆発してしまうという凄さがあ

ります。間一髪でやよいと右京さんは床の隙間に入り助かりました。

右京さんがコーヒー脇に置かれたスプーンを見て真犯人を悟ります。

それは砂糖の空き袋をスプーンに結んだものでした。

同じものを劇中にアップで映していたのですぐに真犯人に結びつきました。


そしてマラソンの表彰式。

兄@渡の父親@西田敏行がスタッフジャンパーで小走りのところを発見する右京さんたち。

二人で父親を拘束し隔離していきます。


全てこの父親が仕組んだ事件だということになります。

父親は渡がマスコミのバッシングに遭い、無情な死を遂げたときから、いつかこの無念を晴らすことを

計画していたのでした。

それは片山議員の父がひた隠しにし墓場まで持っていったという実態のない「Sファイル」の存在を衆

目のうちに表彰者である元総理に証言させることでした。

それが阻止されても裁判により発言する機会を狙っていたお父さん。

次の手を常に考えていた父親ですが、彼にはガンで余命半年という時間の期限がありました。



片山議員@木村佳乃は記者会見を開きました。死んだ父が隠し続けた非情なSファイルの内容。

それはエルドビア共和国への退去命令を出した日より2日早く、渡が拉致されていたこと。

つまり渡は退去命令を受け取ってなかったのでした。

そしてそれを知りながら自己責任だと国は放置し身代金要求に従わなかった。

この事実を公表してほしい。それだけが父親の願いだったのでした。

いっせいにバッシングした異常なまでのマスコミ報道は仕組まれていたということです。

渡の拉致を知ったNPOの仲間や、エルドビア共和国の子供達からの手紙が泣かせます。


片山議員のほぼテロとも言える爆弾会見により元総理は地団駄踏むという有様を見せましたが

病室で見ていたやよいや父親は安堵の気持ちになっていきます。

やよいは二度父親に捨てられたと傷ついていたのですが、

晴れ晴れとした顔で空港を後にしました。



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イラク日本人人質事件を思い出すという助言を頂いていたのでこの件だけは知識を仕入れていきました。

無事に帰国できた三人に対してのバッシングがひどかったことは記憶に残っています。

また、一連の人質事件でもっとも酷かった件も思いだされました。

あの時はマスコミはバッシングしなかったですよね。

でもご家族の悔しさはいかばかりでしょうか。

この時の一連の人質事件をミックスしてこの映画の骨子としたのは、マスコミ報道のあり方と

自己責任論の曖昧さをもう一度訴えているのかもしれません。


しかし、2時間強、それは次から次へと引きずり込んで目まぐるしくとても面白かったです。

右京さんと薫のコンビがとってもいいんです!!

人材の墓場とかリストラ要員が右京さんの下に送られる等テレビ版の説明もしっかりしてくれてました。

個人的にツボだったのは回るスシを食べている右京さんと小野田警察庁幹部@岸部一徳のシーン。

岸部が食べ終わった皿を回るレーンにもどしてたのを「皿を戻したらダメでしょう」ってあわてて右京さん

が回収するのがめっちゃおかしかったです。


それから、東京マラソンに出場する塩谷を警官たちが探すシーンもくすっとします。

ようやくつかまえた相手は全然違う人。それがゲストの友情出演だった岸谷五朗さんだったのでした。

ほんとうにチョイと出てくれたみたいね。

もう一人、ホンモノのランナー有森裕子さんも友情出演してくれてます。

こういう点が豪華なんですね!!


ただ、チェスの棋譜を読み解き対戦したあとに見つけたシルエットがマラソンの地図だという発見は

凄すぎてそういう発想に至るのは偶然が必要だったのがやや難です。

しかも、パンフの地図と棋譜の隙間に何からのメッセージを読んでいましたが

あれもたまたま持っているチェス盤のサイズが合ってたからだということになるのよね?

ここがもう少し素人にもわかる展開ならさらによかったかも。

何しろチェスって知らなくて・・^^;



社会派と称されたこの映画ですが、十分エンタメ性も発揮してくれて

写真に撮ったショットもチョコチョコと思い出され、本当に満足しました。

はっきり言って、あらすじを覚えてから行っても十分楽しめそうな気がしました。

何しろ内容が濃くてスピードもあり、ついていくのがタイヘンでした。

とっても良かったです!!


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