365日釧路湿原にて絶滅動物の危機を救うのが齊藤慶輔獣医師の仕事。
猛禽類が専門だそうです。別名、動物界のブラックジャックとも呼ばれています。


「野生の命をあきらめない」

国立公園釧路湿原、野生動物保護センターが齊藤獣医師の勤め先。

野生動物専門の医師。スタッフは三人。

朝一番に動物の回診。多くは車や列車にはねられた交通事故の怪我。

齊藤はオオワシ、シマフクロウなど猛禽類の専門家。

シマフクロウは国内で120羽のみ。絶滅の危機に瀕しているそうです。

かわいいでしょ?と言われてもねえ・・・(笑

列車にはねられ左の翼を失っていたシマフクロウがやってきました。

ペットや家畜と違い野性の動物に教科書はなく手探りで治療法を開拓していった齊藤医師。

顔を見て痛がってるかとか、くちばしやわずかの動きで様子をみるそうです。


ひとつの覚悟。


「自分しかいないんだ」

今、この動物の前には自分しかいないということを胆に命じ最善を尽くすと決めている。


「野のものは野へ」

齊藤の最終的な目標は鳥を野に返すことにある。

傷が癒えた鳥はリハビリケージに入れ野生に戻す訓練をする。

治療のために保護された鳥は闘争本能が衰えているのでそれを取り戻さないといけない。

人の姿を消し、自然に慣れさせ、最後はわざと姿を見せて近付いたときの警戒度で野生に返す

時期を計るようです。

そしてその日がくるとダンボールに入れて運び「もう帰ってくるなよ」と声をかけています。

飛び立っていきました。

鳥達は絶滅の危機に瀕している。

それは森林伐採や河川の整備で獲物を急速に奪われ絶滅に向かっているということ

猛禽類は生態系の頂点にたっている。絶滅すればその影響ははかりしれない。

その危機感が齊藤を仕事に駆り立てる。

知床に傷ついたオジロワシがいると連絡が入った。

電線にふれて全身やけど。まぶたもこげ、脱水症状。一刻も争う状態で厳しいと漏らしています。

すぐに点滴、止血、ステロイド、抗生剤・・・人間と同じように手当てをしています。

体温が低下し、呼吸も浅く重態。でも齊藤は諦めない。


「治すのではなく治す力を引き出す」

オジロワシはボロボロの体で必死に泣き声をあげた。

全身やけどで立つのもやっとなのに声をあげたという。

ピンセットで肉を食べさせています。自分で食べる力があるというのはすばらしい。

二時間後、体温が上がり始めた・・ほっとしました・・・。



「スタジオin」

あのオジロワシは現在山場を越えて、手術をできるところまで回復したそうです。

ネクタイ上部にバードカーピング。鳥の羽みたいな模様です。猛禽類が好きだと言っています。

ワシなどはくちばしがとがっているが怪我はない?気を抜くとある・・と応えてました。それは・・

10年前オオワシの治療をして爪が手を貫通したことがある・・ええ~痛そう・・・。

足を骨折したワシなんでまさかつかまれるとは思わなかった。油断していたそうです。

そしてそのつかんだ手をワシの爪が貫通して反対からでてきた。両手が危機。大出血。

とっさに口でタオルをつかみワシの顔になげた。目をふさがれたワシがタオルを取ろうとした隙を作る。

まずワシをしっかりつかみ、拘束してから自分の手当てをしたとか・・・おっかなすぎますねぇ~。


「プロフェッショナルの道具」

皮手袋とシート。

オジロワシのぬいぐるみを持ってきました。実物大です。羽を広げると2M40㌢。大きい~~@@

皮の手袋は長いです。その手袋でもって仰向けにし、両足をつかんでしまう。

そしてジャケットと呼んでいる青いシートの上に寝かせます。

いくつもの切込みが入り、マジックテープで止められるようになっています。

手当てをしたい羽を残し、マジックテープで体を動かないようにひとつひとつ止めていきます。

上手くできていて感心しました。そしてフードと呼ぶ立方体になった皮をくちばしにはめる。

ほぼ顔が隠れるので目が見えない状態。大人しくなりますが鳥には不安があるのです。

だから「触るよ」と声をかけている。

猛気類は最後の最後まで人間が見ているとしゃきっとする。どんなに調子が悪くても人間に弱みを

見せないそうです。物陰に隠れて姿を消すととたんにくしゃんとなるとか。また姿をみるとしゃきっとなる。

だから目を覆うことで治療しやすくするのだそうです。


齊藤は13歳までフランスのベルサイユで育った。写真が出ました。とっても美少年です。

森に囲まれた田舎町。課外授業の先生は獣医師で動物の話。その先生に夢中になったそうです。

大学は獣医学部に進学。卒業後は動物病院で働いた。最新医療で夢中に命を救っていった。

ある日、おなかにしこりがある老犬を診た。乳がん。放っておけば命が消える・・。

しかし雑種なので「治療はいいです」と・・・・。

できるなら救ってやりたかったという齊藤。悶々とした気持ちが野生動物へと向いていった。

そのなかで興味を持ったのが渡り鳥の生態。

休日を利用し、鳥の観察と研究者の調査にも加わった。

転機は30歳の冬。北海道の野生動物の獣医師にならないかと声がかかった。

死んだ大鷲が運ばれてきた。次から次へと。死因は鉛による中毒。危機感が募った。


「このままではオオワシは絶滅してしまう」

何が起こっているのか必死に調べた。結果、鹿の毛と鉛の銃弾がでてきた。

ハンターに駆除された鹿をついばみ、弾丸も一緒にのみこんでいたということ。

すぐに仲間とともに動き出した齊藤は、行政やハンターにはたらきかけて鉛を使わないように要請。

なかなか取り合ってもらえない中で、齊藤たちは山にいき、鹿の死骸を片付けた。

そして講演を行い中毒性の低い銅の弾丸にかえる様に訴えていった。

2年後ハンターたちが鉛から銅に変え始め、行政も条例を作り北海道の鹿猟では鉛は禁止になった。

絶滅を食い止めるためになりふり構わずに運動する齊藤の歩みがこうして始まった。


★再びスタジオ★

次々と運ばれてくるオオワシの死体を前に自然界で何が起こってるのかを知りたいと素朴に思った。

そして、原因がわかり、すぐに動き始めた。

しかしすぐには受け入れてもらえなかった。

その時は脅迫電話だったり、封書が送られてきたりと思い出したくないほどの思いをさせられたそうです。

妨害をするのは行政ではなくてハンター達ですよね・・・

オオワシが絶滅したら生態系も狂うという話でしたからこれは大変なことなんですね。


ある日、講演をしているところに猟銃をかついたハンターが入ってきた。

その人は新聞で鉛中毒の記事を読んだから銅の弾丸を使っているという。

やはりその道のエキスパートはハンターだから、反目し合ってはいけないと思った。

情報共有して、専門家集団を作ることにした。

感情的にならずデータや統計を出すことで冷静に情報を共有しているというのがすごいと茂木さん。

やはり自分も人間だから感情的になってしまうし、こっちが正しいと思うところもある。

しかし、人間が作った悪環境だから・・・

結局は人間の手で治して動物達を自然に帰すというお手伝いでもって責任をはたす。


交通事故で運ばれてきたオジロワシは治療後4ヶ月が経過している。

右目は見えてない。

それでも齊藤は野生に返したいと思っている。

リハビリケージに入れたオジロワシ。

網で囲まれたケージですが自然は自然。羽ばたき飛んでますが、難航しているとのこと。

野生で生きていくには警戒心と闘争心が必要。しかし右目が見えないので周囲に強い恐怖心があり

しかも人の手で餌を食べていたから警戒心も薄れた。

これを野生に戻すのは並大抵ではない。

齊藤は荒療治に出た。一回り大きいオオワシをリハビリケージに入れた。

通常は傷つけあうのでこういう方法はとらない。しかし、野生の本能を取り戻すべく、考えた末に。

ワシ同士の警戒心、闘争心、距離のとり方など、メンタル面でのリハビリにもなる。

そして餌も野生のオジロワシが好む海のサカナに変えた。量もぎりぎりに減らし、オオワシと闘うことを

思い出させるようにした。野生の本能を取り戻すということ。

野に返してやりたいですね、とうなずく齊藤医師。


NGOの集会。サハリンの森林伐採の件。

ここにはオオワシの繁殖地があり、伐採されるとまた絶滅に向かってしまう。

「こんな手ぬるいことしていたら間に合わない」という・・・深刻



オジロオオワシ。リハビリ17日目。

怖気づいて止まり木から離れなかったオジロワシが積極的に地面に降りるようになった。

滑空、旋回、着地。力強さが戻ってきた。相手から逃げる能力があるということは余裕が生まれる。

筋力が戻り、飛ぶ力が強くなったことで精神的にも強くなったと齊藤は判断。

そしてケージに向かい姿を見せた。トリが警戒の姿勢をみせた。羽を高くして威嚇しています。

これはいい傾向だと齊藤は言った。


かつての苦い経験。大丈夫だと判断し野に返したワシが数ヵ月後、やせ衰えて戻ってきた。

何らかの理由で自分で餌を捕れなかったようだ。

だからこそこの右目の見えないオジロワシを野に返す時期を慎重に判断しないといけない。

本当に野生で生きていく力が戻っているのか。


「どちらが彼の幸せか」

齊藤はオジロワシを野に返すことに決めた。

釧路湿原。

治療4ヶ月。リハビリ一ヶ月。5ヶ月も人間のもとにいたけれど・・・

かごの戸をあけました。飛べと声をかけています。

迷いなく一直線に飛び立って遠くの木の枝に止まりました。

双眼鏡で見ています。どんな気持ちでしょうね・・・齊藤さん、父親みたいだとふと思いました。

落ち着き払い左目で周囲を見ていたオジロワシ。誇り高き野生のワシの顔。

30分後、釧路湿原の奥へと力強く羽ばたいていきました。

よく頑張ったと言っています。ちょっと泣きそうです。


プロフェッショナルとは

どのような状況においても自分の使命を果たすことができる人。

そして人が全く予定していなかったプラスアルファをゲットできる人。







オジロワシが鳥かごの中から飛び立ったときは感動で鳥肌でしたわ~。

手塩にかけた子供の成長を見守るような気分ですよね。

本当にすばらしかった。

鳥に限らず動物にはあんまり興味がなかったけど

すごくひきつけられて行きました。

とっても良かったです。

自分の生きる道を見つけた人は本当に輝いて見えますね。

齊藤さん、すばらしい生き方をありがとう。




次は 茶師 前田文男さん。



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