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今週は名人戦の模様を2ヶ月に渡って追ってくれたということで1時間の番組になっています。


宿命のライバル対決

4/8 将棋界の名人のタイトルをかけて勝負が始まりました。

最初に登場したのが4期連続名人の座を守る森内俊之(37)。

そして、挑戦者の羽生善治(37)が登場。

二人は同い年で同期。森内は4年前羽生から名人の座をうばった。

羽生は奪還に燃えています。

阿部隆八段や、鈴木大介八段もコメントを寄せています。本気の羽生をみたい。最強の二人だと。

振り駒により森内の先手。おしぼりで手をしめらせています。じっと目をつぶる羽生。

二人は子供の頃から戦い続けてきた。宿命のライバルといわれている。


150人のプロ棋士は5段階のピラミッド型になっていてトップの10人が一年がかりで総当たり戦を

行い、1位になった人がその頂点にいる名人に挑戦する権利があるというもの。これが名人戦。

森内は名人になって5期目で、永世名人の資格を持った。

この称号は名人戦が実力制になって70年の歴史のなかでは五人しかもっていない。

羽生は先に4期名人を持っていたがあと1期が森内に阻まれ遠い道のりとなっていた。


第一局。名人戦はもっとも過酷なタイトル戦。2日間にわたって闘いが繰り広げられる。

持久力精神力が問われる戦い。

主導権を握った森内。だが44手目で羽生が一手損する方法を選び、まもなく森内の攻めを封じた。

天才と呼ばれる羽生の強さがここにある。

「常識破りのひらめき。」

今ある定石を絶対だと思わないほうがいい。全部忘れたほうがいいものが浮かぶことがある。

森内はじっと耐え続ける。優勢のはずの羽生が落ち着きを失い始めた。

58手目。勝負を急いだ羽生。見ている人たちは羽生の手を雑だと思った。

羽生をこのようにさせた森内の重厚さが見事だと。

「重厚な受け」

森内は読みの速さや瞬時の判断力は羽生に比べて遅い。しかしどっしりと相手の攻めを受けとめ

緻密な読みをめぐらしてゆさぶる。

この重厚な将棋が羽生を狂わせた。一気に攻めに転じた森内。

19時間。羽生が「負けました」といった。一局目は森内の勝利。

合間にバックギャモンをしていた森内。気分転換。この重厚さはライバル羽生の背中を追うことで生まれた。

小学校4年の時に二人は出会った。翌年、揃ってプロ棋士の養成所に入った

当時から未来を嘱望されていた森内。その前には常に羽生がいた。

羽生は中学3年でプロになった。異例の速さ。

一年半後、森内もその後を追った。しかし差は開く一方。

羽生は次々とタイトルを手にし、25歳で前人未踏の7冠を手にする。

そのころ森内はタイトル戦すら挑戦することができなかった。

劣等感があり嫌な自分になっていくのが辛かった時期。

定石の研究に没頭してもなかなか勝てない。次第に開き直り、自分の将棋を追及してみた。

吹っ切れたとき、森内の将棋が変わった。持ち味の重厚さに加えて思い切った手を指すようになった。

31歳で初めての名人戦を獲得。32歳で竜王位。羽生に4連勝でタイトルを奪った。

先に永世名人を得たのは遅咲きの森内だった。


4/21大阪 第二局

39手、定石とは違う手をさす森内。30分考えた羽生は型破りな手をだした。400年の歴史のなかで

一度も前例がない手。データに裏付け得られた戦術ではなく一つ間違えるとあっという間に勝負がつく。

二人はそこで真の実力勝負をする。

「二人で新たな地平へ」

知らない局面こそその人の実力を問われる将棋士にとって本当の実力と思ってます。(森内

予期せぬことにどれだけ出会えるかが面白い。お互い力を振り絞って。(羽生

対局中に、監視をしている二人が寝てしまいいびきをかいてました・・拭き出す二人です・・・。

外で見ている将棋士たちもこの勝負は難しいといってます。

17時間が過ぎ、羽生の攻めの構想が勝負の差を開いていった。

森内が「負けました」と言いました。一勝一負。


「スタジオin」

先に森内が登場。二人一緒というわけにはいかないのね。勝負士ですから!

2日間の勝負が大変だという茂木さん。

ずっと緊張したままだと最後までもたないから緩急をつけるという森内。

集中力が高いのかと問われると音に弱いので集中力は弱いほうだと笑う森内。

第二局は定石がなかったということでどんな状態だったかと聞く住吉さん。いい質問。

知識がない分、まっさらな気持ちで考えられるしそれが心地いい。自分が気づかないいい手だと思った。

羽生さんと勝負するとこういうことがあって、困ってるけれど感心する喜びがある。

初めて会ったのが小学4年。自分がアマチュア初段で羽生が4段。指してみたら偉い強くて

体が小さいのにすごいと思った。苦しい勝負だったことを覚えていた。

二人の対戦成績をみていると始めのことは羽生が優勢で最近は森内がおいあげている。

負けると悔しかったという。お互い負けず嫌いだけど羽生さんの方がその負けず嫌いは大きいと。

羽生さんの七冠の時の強さは?

神がかりがあった。心の中まで読まれてるような感じで今までになかった負け方をした。

羽生には劣等感があったといっていたが。

子供の頃から将棋にエネルギーを注いでそれで勝てないとなると他の仕事もできないし

自分がダメ人間と思う時期があった。

将棋から離れて他のことをしていたこともあった。酒やギャンブルに逃げたことも。

また戻ってくるきっかけになったのは何?

自分なりのポジションでしっかりやることだと思うようになった。年を重ねるにつれて人間だから

間違えてもしょうがないと思えたのが、思い切った手をさせるようになった契機となった。

無理と思っても可能性があると思えるようになっってきた。


次に羽生が登場。

今年の名人戦はどんな気持ちで臨まれたかと聞く茂木さん。

久しぶりに名人戦に挑戦できたし来年の保証がないからチャンスを活かしたいとおもった。

森内さんと初めて対戦したときの思い出は?

一局目は負かされて猛一局は勝った覚えがある。

体格のいい人だと思ったと笑う。

負けず嫌いは羽生さんだと森内さんがおっしゃってたというと笑いました。どうでしょう、わかりません。

お互い勝負士ですからと。

二人の勝負はデパートで指していたときから今にいたるまで核の部分では何も変わってないという。


羽生は名人戦に挑戦する権利を持つA級順位戦を一年かけて圧倒的な強さで勝ち抜いてきた。

その姿はここ数年の羽生の姿とは明らかに違っていた。

若くして頂点を極めた羽生。その桁違いの強さを支えていたのは天才的なひらめきと驚異的な勝負への

執着心。どんな劣勢でも最後の一手まで執念で粘りこみ逆転させた。

25歳で七冠を達成するとその将棋が変わってきた。

勝負にだけこだわる勝ち方に抵抗を感じ始め、30を過ぎてひらめきや記憶力も衰えてきた。

迷いと不安のなかで成績にも翳りが見え初めてきた。

そのころ台頭してきたのが同期の森内。

羽生は竜王、王将、名人と森内にタイトルを奪われてきた。

33歳の時に一冠まで落ち込んだ。

そこでみた一つの光景。若手棋士と対戦する還暦を過ぎたベテラン棋士たちの姿。

羽生ははっとなった。棋士にとって生涯をかけて自分の将棋をきわめればいい。

目の前の対極に全てを注ぎ込むこと。羽生の将棋が少しずつ変わっていった。


名人戦第三局目。

先手は森内。先手の勝率が7割以上と圧倒的に高い。これを崩したものが勝利。

最初に仕掛けたのは森内31手。棋士人生で初めて指した果敢の一手。

この手で有利になればと一手を出した。

森内の手に羽生は攻めの手を躊躇した。

勝負は森内のペースになった。

万策つきると皆が思った。開始から15時間。羽生投了かと空気が流れた。

羽生は30代になって投了が早くなった。

しかし、この日は粘った。誰もが勝負アリと思っていたところに羽生一人が諦めてなかった。

最善手を指し続ける羽生。それから二時間。

その執着心を凄いと思っていた森内。

羽生の粘りに決めきれない森内。持ち時間をとことん使い、余裕がなくなった、そして指した9八銀。

控え室でどよめきが起こった。意味をなさない痛恨の手だった。羽生の力の凄さを皆が思い知った時。

羽生はそのミスを見逃さない。頭を抱える森内。形勢は逆転。羽生の手が震え始めた。

羽生は30代になってぎりぎりで勝てる読みが見え始めると手が震えるようになった。

164手。森内の王を追い込んだ。「負けました」森内が言いました。森内、投了。

21時間に及ぶ激闘は歴史に残る大逆転。羽生が去っても立ち上がらずその場で考え込む森内。


スタジオの羽生

それにしてもすごい大逆転だったと茂木さんが言ってます。

あの時は控え室の声が聞こえたという。何か叫んでいる声があったと。大笑いしてます。

でもそれでよくなったわけではなくてその先も難しくてギアを切り替えていくのが大変だった。

1日目から不利だったので気持ちは萎えていたという。でも最後までベストを尽くそうと気力だけはあった。

30代になって投了が早くなったという。判断が早く見えてきたからだそうです。良い悪い互角が見える。

頑張ろうという気がなくなった。でも淡白になりすぎるのもいけないと思ってきた。

可能性があるのにいろんな手があるのに諦めるというのがよくない。30代に入って迷いの時期があった。

不安や心配がみえてきた。メンタルな部分は年を重ねると見えてくる。長老の知恵などがよぎった。


森内さん登場。

第三局目でミスを犯してしまいましたがどんな気持ちでしたか。

いくつか決め手があったのに逃がしていて、危ないという危機感をもってやっていたが平常心ではなかった。

力を使いすぎて気持ちが続かなくなった。終わった後もかなり落ち込んでおられたが・・・

そのあと飲みにいってひどい将棋だったと先輩に言われて気分が楽になった・・。

あの時の羽生さんの気迫が凄かった。それだけ勝ちたいというのが伝わってきた10代の羽生をみてい

る感じだった。自分はああいう将棋は指せない・・。



羽生さんにとってライバルの森内さんはどんな人?

自分のないものを色々提示してくれるという感じ。資質とか発想とか判断することとか。提示してくれる人。

そういう人がいると1+1は足し算じゃなくて掛け算とか自乗とかそういうもの。(羽生


森内さんにとって羽生さんとは?

倒したい相手でもあるし自分がここまでくることができた恩人でもある。

自分のなかで保守的になりがちな部分をこわして新しいものに挑戦するお手本になってます。



5/13 森内は痛恨の第三局からまだ将棋盤に向かえてなかった。

野球の打ちっぱなしで無心になる。

ミスをすることを怖れずに自分を信じていけるかどうか・・逃げるのではなく克服したい。

自分自身とむきあっていた。



5/30 名古屋 第四局

森内が後手。負ければ後がなくなる。

序盤、果敢な手を出してきた森内。14手2ニ飛車。未知の局面に誘い込む。

大胆だと控え室の将棋士たちが言っています。こういう指し方はしない人だと。

局面は混沌としてきた。

18時間半。羽生の手が震え始めた。あっというまに森内の王を追い込んだ。

「負けました」森内が言いました。1勝3敗。森内のあとがなくなった・・


第五局

絶対に負けられない森内。痛恨の三局と同じ戦法に出た。

20手。羽生が三局と違う手で返してきた。

森内はさらに違う手で返した。

「難局でこそ大胆に」

厳しい状況になるほど大胆にいきたいとおもっている。(森内

森内さんはぶれガ少ない。さすがだと思いました(羽生

1時間47分の延長。羽生の封じ手で終わった。

羽生の封じ手の開封。度肝を抜かれた。

「最強の手には最強の手」

羽生の渾身の一手にもひるまず森内はすさまじかった。

強気の攻めで羽生との差をひろげていった。

羽生が「負けました」と言いました。この日は森内の圧勝。


名人戦の合間に他の対局にも追われていた羽生。


第六局は山形天童。3勝2敗で王手をかけていたがそのほうが逆にプレッシャーだった。

平常心でいようと思うこと自体がもう平常心じゃない・・。(羽生

森内は報道陣の控え室をふらっと訪れた。

大量の機材をみて驚いていた。

その表情はふっきれていた。



第六局 最高の大舞台。

羽生の先手。ゆっくりと目を閉じた。

「玲瓏」羽生はこの言葉を思い浮かべるという。

後手の森内、羽生への劣等感を振り払い自分の将棋を追及してきた。

一つの境地「無心」こえrが森内の心境。

若い時は理詰め。今は自然にわきあがるものを大事に。

森内は常識破りの危険な手をさした。羽生の攻めを誘う大胆な手。

羽生の表情が変わった。素直に凄いと思った(羽生

一進一退の攻防。

森内が羽生の懐深く打った。羽生は渾身の一手で返した。

16時間。小さくうなずいた羽生。89手目 5三桂成

飛車を捨て最短で勝ちにいった。森内は目を閉じた。羽生、王手!

「負けました」森内が言いました。お辞儀をし、汗をぬぐう羽生。


終わってほっとしたという羽生。

全体的に押され気味で仕方なかったという森内。


翌朝、森内は始発で帰っていった。

名人となった羽生がフラッシュをあびる。


プロフェッショナルとは

高い専門技術はもちろん、今の自分に満足せず高めていく(森内

24時間365日、プロであり続けること(羽生


名人戦から3週間、羽生は勢いにのりさらに2つのタイトル戦に挑んでいた。

森内は無冠からの再スタート。全く新しくやり直しますと爽やかに笑っていた。



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父が将棋好きで職場の中で試合があると優勝してトロフィーを貰ってきたりと楽しそうでした。

日曜のお昼頃は教育テレビで研究してましたね。

私は教えてもらったけど全然できません。

でも今回は文句なしに面白かったです。

天才の羽生に遅咲きの森内。小学校から20年以上も戦い続けてきた。

頂上対決という二人。

有名な二人だけに対局の緊張感がたまらなかったです。

真の頭脳対決の凄さをみせてもらいました。


現在、名人は羽生さんがもってるのね。

ニュースになるくらい斬新な更なる一手をお待ちしています。



次回は板金職人 国村次郎さん(63)


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