今週は京菓子のプロフェッショナル、山口富藏さん、71歳の仕事の流儀。
京都祇園祭。この時のお茶会の菓子を手がけたのが山口さん。

吉野葛を竹の葉でお守り風にくるみ涼しげな和菓子でした。

神社仏閣の御用と茶道の家元との信頼を得てのれんを引継ぎ3代目の山口さん。


「古都の雅、菓子のこころ」

象のネクタイをする山口さん。名前に「蔵」が入ってるからだそう。

厨房に向かい職人たちの作る菓子の状態をチェックしています。

山口は新たな菓子をデザインし職人を動かして菓子を生み出す最高責任者「菓子司」

伝統の京菓子。宮中の帰属文化で育まれた菓子。菓子で季節を表現するのがならわし。

梅雨明けに咲くむくげのあ花をモチーフにした黄色の和菓子。

吉野葛を使った涼しげな和菓子。


7月末、例年にない猛暑にお菓子を入れ替えることを提案。

デザイン画は青いもみじやかえでも入れて涼しげに。

緑の餡で夏の木の葉を表現し、黒のあんで木陰を表現。

山口は手作りを史上とする。あえて不ぞろいで構わない。一人ひとり表情の違う羅漢のように。


この日持参したお茶会のお菓子。中秋の名月に唐招提寺で行われるお茶会で主催者は

東山魁偉の涛声の襖絵を気に入っていたことを知り、これを反映させたデザインの和菓子。

葛のなかに写るゆり根、波間に映る月を表現した。


「人の心と心をつないでこそ」

新しい注文は女性の碁の会のお茶会の菓子。

会って話して好みをさぐるというのがまず一歩。

一つの案として奈良の正倉院にある聖武天皇愛用の碁石をモチーフにした小さな丸い菓子。

女性陣はもったいなくて食べられないと言ってます。一つはこれに決定。

もう一つが主菓子。

ある物語の中に女性が碁を打つ場面がでてくるという。上品でつつましやかで・・・。

その女性の雰囲気の和菓子を提案しています。

山口さんは5階の倉庫に向かい物語の原点を引っ張り出してきました。

十二単。着物の袖を菓子にしようと思いついた。

膨大に貯蔵された資料を探っています。

一見の客に誠実に応対しています。


「一期一会」

お菓子を食べるのはその一度だけ。どれだけ満足してもらえるかどうか。

碁を打つ女性の着物の袖口の和菓子が生まれました。

お客の女性たちが感激しています。


京菓子と普段私たちが口にしている和菓子との違いは?(茂木さん

長い京都の公家文化を踏まえたもの。

もう一つはもてなしの食べ物。客を迎えて初めて成り立つ世界。

その中に京都の季節を盛り込む。おいしいだけではない食べ方。

最近の流行は?(茂木さん

「かわいいい」という感覚でとらえられる御菓子。(笑

彩りでも華やかなブルーを使ったものが多い。

プロフェッショナルの道具。

風呂敷は結ぶ。人と人を結ぶということで大好きだそうです。

はし、刷毛、片栗粉(おしろいみたいに布で包んで)。

はしは自分で竹を削って作る。

お菓子を入れる容器、お重。綺麗な和菓子が次々と出ています。

名前をつけるのも楽しい。

「月出づる」 黒の四角いお菓子に銀色があります。そこが月の世界。

「野分」  風がふいて草がなびいた様子を表現した。

デザインする上でのコツは?

できるだけ単純にすること。

話を聞いてから食べると想像が膨らんで美味しさがまた違うという住吉さん。

重箱の一番下には一個だけ、茂木さんへの御菓子。

モーツアルトの40番がすきと聞いてその音楽のイメージに合わせて作ってきた。

緑の吹き上げた球状のものに宝石のような小さい透明な葛をいくつか載せてました。

凄くきれいでした。茂木さんももったいなくて手が出なかった・・




山口さんは老舗京菓子店の三代目として育ち、大学を出てから家で修行。

父は茶道の家元に絶大な信頼を得ていた。

働きぶりは猛烈で休む閑もなく働いていた。

もっと効率よくという思いが山口さんにはあった。

ある日父が倒れ、急遽33歳の山口さんが代わりに立つ。

茶道のお茶会に1000個の注文。大量注文に気持ちが震えた。

当日は早くから準備し、効率よくしたが、お菓子の皮が乾くということになってしまった。

泣く泣く納めた菓子だったが家元に

「一期一会」というやろ・・と言われてしまったという。

その後父が亡くなり店を継いだ山口さんにお客さんは

「お父さんとはえらい違う」と言ったという。

製法も材料も同じなのに何が違うのだろうと模索し続けたが7年経っても言われたという。

心に浮かんだ言葉

「一期一会」

なじみでも一見でもその注文は一度きり。一人ひとりのお客に正面から向き合おうと思った。

10年を過ぎたころ、気がつけば父と比較されなくなった。

客との出会いは一期一会。その姿勢が山口を菓子の匠に育て上げた。


「再びスタジオ」

お父さんと違うといわれたことについて。

色んな状況で言われたという。これだからダメということじゃなくて

ただ話をして会ってるときにお父さんと違って変わったな・・という風に。

あんまり言われるものだから、くそーっと思ってしまったという。

言われなくなったのは10年たってから。

父と同じようにしていても変わったと言われた。わけが分からなかった。

でもお客が他所に行かずにずっとお客できてくれた。

かわいがって育ててやろうと思ってくれたという。

10年間、お客様が辛抱してくれて待ってくれたと。

そして一期一会をおもいだしたということですが、どういう意味ですか?

食べたら消えるのが和菓子の仕事。

だけどそれだけに1つ1つに心していかないといけない。試行錯誤、後悔、失敗の繰り返し。

伝統を守りながら新しいお菓子を作るのは大変ではないですか。(茂木さん

お菓子を作ろうとおもったらあかん!

美術館でもっと色々見て遊ばないといけない。

遊び心は大事だという。


7月下旬。納涼茶会の注文。

伝統文化を考える会。有職研究会世話人、山口明彦さん、

源氏物語の夕顔の巻。今年、千年紀だそうです。

六条わたりのお忍び歩きの項。

涼やかで儚げだと言う。

夕顔の巻をお菓子で表現してほしいといわれた山口さんでした。

3日後、難題に取り組み始めた。

光源氏が垣根に咲く夕顔の花に目を留める。その家の女性は源氏と恋に落ちるがまもなく命を落とす。

文の中に「白き扇」がでてきて、このお香の扇をモチーフにしようと思った。

そのお香をどう表現するか?

源氏香という伝統的遊びに使われる香の図。

伝統文化に深い関心を持つ人ならすぐにピンと来るはず。

緑色の餡をうすいせんべいでくるんだ干菓子。溶かした砂糖がうっすら浮かぶ源氏香の模様。

会心の出来だと笑う山口さん。

きれいでしゃれたお菓子だと言っています。

物語に伝わる夕顔が咲いている桧垣の垣根の表現として、砂糖菓子に焼印を押した。

客と向き合いつくってこそ京菓子。

一期一会

8月に依頼者が見本を見に来た。

顔を洗っている山口さん。71歳の今でもお菓子を見せることは落ち着かないという。

葛の透明感を消し、たそがれに咲く夕顔のイメージの生菓子。

そして源氏香を見せたら絶賛する依頼者。さらに垣根の砂糖菓子。

しかし山口が色の取り合わせに迷いが出ています。

「白き扇のいたう焦がしたる」部分の表現ということです。

依頼者は夕顔の巻のイメージで楽しく想像でき、いただけると喜んでいました。


いよいよ当日。

お茶が一服出され、垣根と源氏香の組み合わせのお菓子が出されます。

山口さんが終わって出たところに一人の女性が声をかけてきました。

なんとこの方も扇に源氏香の模様がついているのを持ってました。

干菓子とちょうどぴったり。感激しています。

山口さんの思いが伝わりました。


プロフェッショナルとは

自分の仕事に嬉しさと楽しさとを感じて、プロを楽しむこと。

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京都の公家文化の流れでお茶会を楽しむための京菓子。

普通に私たちが食べている和菓子とは違う趣向のものだそうです。

上流階級に入りたかったら茶の道に入ると良いと言いますが

まさにその世界でしたね。

しかしさすが京都、皆さん風流人ですね。

禅問答のような問題を出してそれに答えを用意するちょっとした

知と遊びの世界を伝統的に表現するような面白さがありました。

難題にちゃんと応えられる幅広い教養と遊び心を持った方です。

和菓子大好きですが、たった一度きりの注文菓子って食べてみたいものですネ。



次は 大腸内視鏡医 工藤進英さん



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