09/27/2008 おくりびと
一週間ぐらい前に友人から今から行こうって誘われて慌てて走って行ってきました(笑)
最終のCMが始まっていたけれど着席してみると、周りも老若男女、年代も幅広くて誰も浮いてることが

ないという、お客さんがこういう雰囲気の映画は久しぶり(笑)以下、ほぼネタバレのレビューです。

解説

ひょんなことから遺体を棺に納める"納棺師"となった男が、仕事を通して触れた人間模様や上司の影響を受けながら成長していく姿を描いた感動作。監督には『木村家の人々』『僕らはみんな生きている』でユーモアを、『バッテリー』『壬生義士伝』で感動を届けた滝田洋二郎。そして、人気TV番組『料理の鉄人』などの構成作家として活躍した人気放送作家の小山薫堂が、初の映画脚本に挑戦。主人公の心そのままに、時に激しく、時にやさしく、チェロの音色で織りなす感動的な音楽は、名匠・久石譲が手がける。
一見近寄りがたい職業、納棺師に焦点を当て、重くなりがちなテーマを軽快なタッチでつづる。キャストには本木雅弘、広末涼子、山崎努ら実力派がそろい、主演の本木がみせる見事な納棺技術に注目。

あらすじ

楽団の解散でチェロ奏者の夢をあきらめ、故郷の山形に帰ってきた大悟(本木雅弘)は好条件の求人広告を見つける。面接に向かうと社長の佐々木(山崎努)に即採用されるが、思いもよらない業務内容を告げられる。それは【納棺】、遺体を棺に収める仕事だった。
戸惑いながらも、妻の美香(広末涼子)には冠婚葬祭関係の=結婚式場の仕事と偽り、納棺師の見習いとして働き出す大悟。美人だと思ったらニューハーフだった青年、幼い娘を残して亡くなった母親、沢山のキスマークで送り出される大往生のおじいちゃん...。さまざまな境遇の別れと向き合ううちに、大悟は納棺師の仕事に誇りを見いだしてゆく。



オーケストラのチェロ奏者っておしゃれでかっこよくて大悟@元木雅弘にぴったり!

チェロも新しいのを買ったばかりだったのに、いきなりの解散宣言。

先日の大胆MAPでもわかりましたけど音楽で身をたてるって本当に大変。

才能があってバックで支えてくれる人がいるなら打ち込めるけれど、

花開くかどうかなんて誰にもわからない、一寸先は闇という世界ですねえ・・・。

大悟もせっかくの今までの苦労が水の泡。いいチェロだったのよね・・。

人生をあきらめたように故郷に帰っていきました。

WEBデザイナーをしているという美香@広末涼子が奥さん役でしたが、けっこう良かったねえ。

大悟が田舎に帰ると言ったとき「賛成」とすぐに言ってくれた。

普通嫌がるでしょう?いい奥さんですわ。

帰った故郷の家というのが飲み屋を改造したような古家だけどおしゃれな雰囲気がするのね。

それは死んだ大悟の母が開いていたスナックでした。そしてそこにあったのは失踪した父親が収集して

いた大量のレコード?珍しいものを見ました。針を落としていくあれです。

この父親の音楽の趣味が大悟をしてチェロ奏者に仕立て上げた土台だったのね。


家はあるけどまずは仕事を探さないといけない。

求人案内を見て佐々木@山崎努の会社に入っていく。ここにいたのが余さんでした。

この映画、登場人物が少ないのと、ゆったりしたペースが飲み込みやすくて好感でしたねえ。


さて、「旅のお手伝い」というキャッチコピーから旅行会社だと思ってきた大悟ですが、

仕事は納棺師。「旅立ちのお手伝い」の誤植だった(笑

お給料50万は約束してくれるし、いきなり交通費として2万渡されてしまい、拒否したものの

なんとなく丸め込まれ引きずり込まれていく予感。


最初は見てるだけでいいということで佐々木についていく大悟。

遺体を拭き清めてお化粧をほどこすのがこの仕事。

それを家族が見守るところで行うのね。肌を見せないようにするのもまたやり方があるのです。

掛けていたもの、着ているものを脱がして別の装束に着替えさせるのも

絶対に遺体の体を露出させず、もちろん寝かせた状態で行うのよ。テクニックがあるのね~。

その技術を目をまん丸にして見ていましたわ。


初めて担当したご遺体が、なんとニューハーフ。

どう見てもきれいな若い女性だし、遺影も女性。てっきり女性だと思って清めていたら、

「ついてるものがある」っていうから厳粛な場なのに噴出してしまうのよね。

それからいろんなケースがありました。

死後何週間も経って発見されたお年寄りだったり、

非行の果てにバイク事故で亡くなった女子高生だったり。

しかし、最後のこの送り手は厳粛で毅然として美しく、旅立つ故人の門出にふさわしく

見事な儀式として人々に印象付けていくのです。


妻の美香には自分が納棺師であることを告げることができなかった。

冠婚葬祭関係と濁したことで勝手に結婚式関係だと思ってくれてました。

ところが納棺師の技術を録画したビデオがあった。

佐々木が納棺師の仕事を普及させるために大悟をモデルに仕立てて実演してるもの。

これがまたおむつひとつの大悟でやたら受けてしまうのでした。

でも、このディスク?を見たことで美香は怒ります。自分を騙していたことと、この仕事に対する

畏怖や嫌悪や軽蔑がわいてきたというところです。そして別居。

それは美香に限らず、友人の言動にも表れていて、人々の意識の底にあるものがむき出しになります。

すなわち死体で食べてるんだろうという蔑みの言葉となって表れるのでした。


でも、その仕事が崇高であることを知るのは身近な人を亡くしてから。

ある人がそういう言葉を投げたあとに、母親が美しく化粧され、粛然とした美を放ったとき、

自分の言動を恥じます。今までで一番きれいな母親だったと頭を下げるのでした。


それは母が亡くなった友人も同じでした。

妊娠して帰ってきた美香も友人の葬儀に参加し、

その大悟の技術を目の当たりにすることで理解することができました。

遠くにあった「死」が一つの意味を持って浮かび上がらせることができるのは納棺師の思いによるもの。

大悟が、母が生前気に入っていたスカーフを首に巻いたとき、この仕事の貴さを感じた友人でした。


映画を通じて大悟は何も語りません。

納棺師という仕事に対して、嫌悪も怯えもあったし、辞めようとして佐々木の元に行ったけれど、

他人から見下され、妻に突き放されても、一言も自分の思うことを言う事はありませんでした。

この仕事に対しては本当に何も言う事はなかった。

ただ、大悟のチェロが風に乗って流れていくだけです。

おくりびとの調べとなって。


そして失踪した父親死亡の電報がやってきます。

遠くに行ったと思ったら意外に身近なところにいたようです。

愛人と一緒に蒸発と聞いていたのにずっと一人だったと聞き、何か思い違いを感じています。

長い間、会いたいと思い、憎み続け、顔すらおぼろげだった父親。

父が自分の今の気持ちに似ている石を手紙のように相手に託す古代の交流を教えてくれたのでしたが

亡くなった父はその手に白い小さななめらかな石を握り締めていたのでした。

大悟は父親の顔を拭き清め、ようやく長い間のわだかまりが解けていくのを感じています。




ラストシーンで静かにすすり泣きの様子があちこちで感じられましたが

総じて饒舌に語ることはなく、情景と風景とで流れた映画でした。

しっとりと心のどこかに入ってくるのがうまいのです。

高い評価がでたのも納得でした。



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