「アイアイ」を歌う女の子。実はこのアイアイは絶滅の危機に瀕しており、世界中で繁殖を必死に


取り組んでいる動物である。上野動物園の細田はアイアイを3頭繁殖させ世界中に名を轟かせた。

並外れた飼育の技術で海外からも注目を集めている。

動物の心を開かせる技術はまさに細田マジック。

細田孝久さん48歳。

細田の真骨頂は動物の異変を察知する確かな目である。


「すべて動物から教わった」

朝8時に出勤。まず動物達のもとに直行。

着替えをすまして朝食。家では娘二人の父親であるが動物との時間の方が長い。

4人の飼育員を束ねる班長。

日々の世話に加え動物の健康管理と繁殖まで責任を持つ。

「とことん見る」

動物達の小さな変化にも目を配る。

それがストレスや病気を知る手がかりになる。

細田は同じ動物には同じ時間に接するようにしている。そうすることで僅かな変化に気づき、

病気や怪我に対応することができる。


この日、一匹のサルに釘付けになった。何かがついている。

ハイイロジェントルキツネザル。絶滅の危機に瀕しているサルである。

オスなのに妊娠の兆候がある?


「念のために」を惜しまない

木屑をしき始めた。もしも子供がいたら木から落ちてもいけない。

早く生んじゃうとかストレスで流産することもある。

つかまえるとサルにストレスがかかる。

遠くから見守る作戦。

妊娠か病気か?文献をあさる細田。

12日が過ぎても出産のきざしはなかった。

病気の可能性が高いと判断。捕獲し獣医師に診せた。

どちらかというとミルクのようなにおい。医師も首を傾げる症例だった。


7月。大事な仕事があった。

アイアイのソアが発情期を迎えた。

飼育員にとって繁殖は腕を問われる責任の重い仕事。

アイアイはメスの方が強くオスの接近を許さない。

通常は別々に飼育されているが、オスのマミとの接近をいつにするかが繁殖のカギを握る。

体の変化、泣き声、データなどを照らしてタイミングを計る。

翌日泣き声の変化に気づいた。

オスに引き合わせた。


「動物達を未来へ」

1ヵ月後、アイアイの妊娠が確認された。



「スタジオin」

動物達とコミュニケーションをとってるように見えた。(茂木さん

長いこと飼育員をしていると動物に似てくるという。

細田さんは「アイアイ」に似ているといわれるそうです。

実演してましたけど、指が長くて本当におサルさんみたいです(笑

七つ道具はベルトにつけている道具。

デジカメもありました。毎日撮って変化を見逃さないということです。

剪定バサミは枝や竹を切るために。ボロボロなのはアイアイがかじったから。

コンクリもかじる強い歯だそうです。

返してくれと言っても返さなかったけど放っておいたら下に落としてきたとか。

孫を見守るおじいさんみたいな表情でした。本当に可愛いくて大事にしているのがわかります。

動物たちと心を通わすテクニックはありますか(茂木さん

野生動物とペットは違う。

野生動物はこちらから手をださずずっと様子をみているだけ。

そうすると何ヶ月もかかる場合もあるけれど向こうから寄って来る。

何もしないとわかると動物たちも興味をしめす。細田さんは木になったつもりで見ているそうです。

根気よくやっているとそばによってきてにおいをかいだり引っ掻いてきたりするとか。

人間だからその日の感情があるけれど動物にはわかってるそうです。


細田の原点はある動物との壮絶な体験にさかのぼる。

細田はとにかく生き物が大好きな子だった。昆虫を片っ端から飼育した。

大学卒業後会社勤めより、動物とのふれあいがしたいと1年で退社。

ツテをたどり都内の動物園に入りたいと頼んだが空きがなくてただでもいいと頼み込んだ。

バイトで貯めた貯金を崩しながら動物園に通った。半年後飼育員に採用。

しかし現場は厳しかった。職人かたぎの先輩は指導などしてくれない。

フクロギツネを世話して首根っこをつかんだらおもいきり噛まれた。

動物に噛まれるのは飼育員として恥だと笑われたという。

右往左往しながらもいつか動物を担当すると頑張りつづけた。

そして5年目の春、インドサイのつがいを担当。ともに高齢の40歳。

メスのラニーは気難しかった。

しかし細田は意気込み、楽しくて仕方がなかった。

1年後すぎたころ、ラニーが痩せてきた。衰弱。食欲がなく下痢をしている。

暑さのせいと思い、草を細かくして与えた。

しかしラニーの症状は重くなるばかり。1ヵ月後に起き上がれなくなった。

サイは寝たきりとなると内臓が圧迫されて死に至る。

細田は自らの過ちに青ざめた。

「ラニーを前にラニーを見てなかった」

詳しく調べてみると体調不良ではなく老衰で体が弱っていた。

慌てて栄養価の高い餌を与えたが受け付けない。もうだめかもと噂が広がり細田も諦めかけた。

しかしラニーは必死に立ち上がろうとしていた。何とか救いたい。

ともに過ごした1年を振り返った。寝床への誘導に使った黒砂糖を美味そうに食べていたラニー。

細田は黒砂糖いりの特性おにぎりを差し出した。美味そうにのみこんだ。数時間おきにたべさせた。

4日後、ラニーは立ち上がった。周囲は奇跡だと驚いた。

細田は嬉しさと同時に深く自分をいましめた。

動物をみるとはどういうことか。とことん見なければ飼育はできない。ラニーが教えてくれた。


「再びスタジオ」

ラニーはその後どうなりましたか?(茂木さん

翌年4月にお客さんの前に出せるように回復した。

外にだして1年半後に死んでしまった。それは老衰でした。

ラニーが倒れた最大のミスは何でしたか?(住吉さん

8月に倒れたが6月から兆候があった。その症状を軽く考えて見過ごしていた。

真剣に向き合わないと動物は飼えないといわれたような気がした。

最後に亡くなったときは見取られたのですか?(茂木さん

朝、行ったら死んでいたという。

その場で解剖をするそうです。その翌日にいくと、いない。

がらんとしていなくて、心も空間もぽっかり穴があいてしまった。

動物たちから何を教えてもらいましたか?(茂木さん

一回来て一回死んじゃう。

結局死んじゃうからその間にどう生きるかを学んだ。


7月。連日猛暑が続いていた。上野動物園では新しい命が生まれようとしていた。

マタコミツオビアルマジロのマキちゃん。

体重の増加が見られ出産が近い。

繁殖は飼育員にとって最大の仕事。

しかし細田はアルマジロにこれまで苦い思いをしてきた。

8匹の出産に立会い、うまく育ったのは2匹。こればかりはわからない。

出産したと聞き、見にきたら動いてると嬉しそう。

無事に育つかどうかはここからが勝負。子育てに慣れてない母親が赤ちゃんを攻撃してしまう。

赤ちゃんも自力で母乳をのめなければ衰弱して死んでしまう。

24時間以内に一度は母乳を飲んでほしい。

明日の朝まで。勝負の24時間。いざというときのために人工保育の準備も始めた。

動物の赤ちゃんは出来るだけ母乳で育てたい。

7回目の観察。親の気をひき遠くへやってる間に赤ちゃんを測定。78・5g。85gがボーダーライン。

まだ母乳は飲んでないということ。あと15時間。

母乳をあきらめて人工保育をするのは簡単。だが野生の能力を欠いてしまう。


スラウェシメガネザルの繁殖に成功。

そのおサルさんの赤ちゃん。母親が育児をしないから代わりに細田たちが育ててきた。

ところが他のサルたちとコミュニケーションがとれず襲われて左目を傷つけられた。


アルマジロの赤ちゃんはギリギリまで母乳を飲めるように待つ。

獣医師から電話。

アルマジロと同じ日に出産したトビウサギは死産だった。

どれだけ手を尽くしても救えない命がある。その現実に向き合ってきた。

動物はとにかく死んでしまう。そのたびに自分のミスだと、あそこでああしなかったからだと

全然ダメだなと自己嫌悪に陥ってしまう。

飼育員になって24年。自問自答を繰り返してきた。

「無力だからこそ、あきらめない」

アルマジロの赤ちゃんはまだお乳をのんでいない。残り8時間。

赤ちゃんが母の腹の下にいる。可能性がでてきた。嬉しそうな顔です。

この夜、細田は泊り込んだ。

しかし朝まで待っても赤ちゃんはお乳を飲もうとしなかった。

朝、7:50。決断の時。みていると離れたという。ダメかもしれない。

衰弱の限界を見極める。15分後、赤ちゃんが母親のお腹にもぐり始めた。耳を澄ます。

かすかに聞こえる。飲んでるかもしれない。体重を見て判断しようと思った。

午後3時。82g。増えていました。そして翌日、赤ちゃんは自分の足で立ち上がっていました。

喜びがこみあげてきてます。とりあえずこのペースで行きたい。

この先、何があるかわからないから「とりあえず・・」

まだまだ手探りの状態が続きます。


プロフェッショナルとは?

とことん自分が納得できるまでやるということ。

できればそれを淡々とさらりと普通に続けていくこと。


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動物園にはあんまり行きたいと思いませんし、ペットも飼ってないので

動物が好きとは言いがたいのです。

でも、こんな風に動物が大好きで愛しくて大事に大事に思っているという方もいるんですね。

飼育員になりたいと会社をやめて無給で働くほどの情熱があった細田さん。

そこまでしてつかんだこの仕事は天職です。


飼育というその仕事ってお掃除やえさなどで明け暮れしそうですが

実は繁殖という重要な使命を持っていたのがひとつの発見でした。


いろんな動物達を語る細田さんの目がどの子もかわいくてならないという表情で

親の顔なんですね。

本当に愛してるということが伝わってきました。

見守るというのは簡単そうでその裏には決断する必要も有り、厳しいお仕事でした。

カメラを通してみると動物達が本当に可愛かったです。


次は落語家 柳家小三治さん

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